野村不動産は3月6日、同社が開発した住戸全体の床空調システム「床快full(ユカイフル)」が居住者の健康に及ぼす影響を慶應義塾大学と共同研究を行った結果、転居前後で睡眠や血圧に良い影響を与えることが分かったと発表した。共同研究は、慶應義塾大学伊香賀俊治教授(現名誉教授)、川久保俊准教授と行ったもの。
夏季の調査は、転居前調査(2022年7~8月)と転居後調査(2023年7~8 月)に実施。その結果、①転居後は転居前に比べ、測定期間中の平均気温が日中約3.6℃、夜間約1.5℃上昇したにもかかわらず、全館空調の効果で水回りを中心とした室温の低下が見られた。転居前後でのアンケート調査では「体のだるさ」「疲れ」「イライラ」といった指標において改善が見られた②就寝中の寝室環境において、平均室温は0.2℃と若干上昇するも、相対湿度は9.6%と大幅に低下、平均CO2濃度も低下が見られた。転居前後の質問において、「暑くて眠れない」「ジメジメして眠れない」と回答した割合が大幅に低下、また、睡眠効率においても2.4%の改善と有意な効果が見られた。
冬季の調査は、転居前調査(2022年12月~2023年1月)と転居後調査(2023年12月~2024年1月)に実施。その結果、③転居後は転居前に比べ外気温は1.5℃程度上昇。各室の室温は、転居前では居間を除く全ての室でWHO(世界保健機関)推奨最低室温の18℃を下回る時間が存在したが、転居後では18℃を下回る時間はなく、1日を通して室温が高く維持されている。「手足が冷える」と感じる人の割合が低下した④参加者のうち転居前に起床後収縮期血圧が、日本高血圧学会の定める正常高値血圧(115mmHg)以上と以下に分類して比較したところ、正常高値血圧では血圧が3.9mmHg低下するなど、血圧が高い人ほど有意に低下するという結果が見られた。
研究成果は、2024年3月の日本建築学会関東支部研究発表会、8月の日本建築学会大会で発表された。