「ANO-NE Kids Club(あのね キッズクラブ)」
コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントは3月10日、子育て中の国内・インバウンドを対象とした一時子ども預かり屋内遊び場「ANO-NE Kids Club(あのね キッズクラブ)」(認可外保育施設)をメディアに公開し、2025年4月1日にグランドオープンすると発表した。
コスモスイニシアグループは「次世代を担う子どもや若者」をグループ共通のESGテーマの1つに掲げ、当期純利益の2%程度をESG投資に充当し、人的支援も積極的に行う社内起業「Next Generation Challenge」を推進しており、同施設はその一環。コスモスイニシアとコスモスホテルマネジメントが共同で推進するPoC事業として展開する。
事業開始した背景には、コスモスホテルマネジメントが運営するアパートメントホテル「MIMARU(ミマル)」の年間利用者45万人のうち、宿泊者の9割以上が外国人で、家族利用が約9割、子ども連れが約8割を占め、中長期滞在が多く、ベビーシッターを経験している宿泊者から「日本での滞在時にも子ども預け、高級ディナーや美術館など子連れでは体験できない観光も楽しみたい」とのリクエストが寄せられてきたことなどがある。
施設は、この問題を解決するために企画された。子どもが自ら行きたくなるような施設を造ることで、子どもを預ける精神的ハードルを下げ、保護者の育児負担を軽減し、海外ゲストにとっては訪日時の体験の幅を広げ、観光促進と満足度の向上に繋げる狙いがある。JR有楽町駅から徒歩5分、千代田区有楽町1丁目に位置するKOKOビル4~5階の延床面積約150㎡。営業時間は平日14:00~22:00/土日祝10:00~22:00、定休日なし(臨時休業の場合あり)。対象年齢:4~10歳。利用時間:最短1時間から。利用料金(保険料込):2,500円(1名、1時間)。ビル運営:コトブキ、遊具の保守点検:KTS、ビルおよび遊具の設計監修:環境デザイン研究所。最低1人、保育士が常駐する。ビル2層分が吹き抜けとなっており、多層空間になっているのが特徴。
事業を立ち上げたコスモスイニシアR&D戦略部新規事業推進二課・南野理沙氏は「私も4歳の男の子がいます。自分の時間を持てない悩みを抱えています。また、子どもを預けて自分の時間を楽しむことに罪悪感を感じる人も少なくありません。この施設は子どもが楽しめることを大前提に、大人も安心できる企画にしました」と語った。
コスモスホテルマネジメントKURO-GO事業推進部事業企画課課長・佐々木麻美氏は「インバウンドのゲストの方はベビーシッターや託児所に子どもを預けて歌舞伎、寺社仏閣、寿司屋、居酒屋、エステを利用したいという声は多く、お子さんも親と一緒の訪問先は楽しくない。そんな悩みを解決したのがこの施設」と話した。
当面、1日8組の利用者を想定し、1年後に検証してその後の展開を図る。
施設内 イメージ
南野氏(左)と佐々木氏
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同じような施設は昨年1月、三井不動産が孤独な子育て(孤育て)を支援する、民間初のママ・パパ用休憩室を併設した一時預かり保育施設「YASMO武蔵小杉」を見学取材したことがある。保育園に子どもを預けることに抵抗感があるファミリーが対象で、預かるのは生後3か月から未就学児。休憩室も備えられているのが特徴だった。
今回の施設は、4歳児以上というのがミソだ。「ANO-NE(あのね、これからパパとママはね、お前の人生を左右するかもしれない、二人きりの大事な時間を過ごしてくるからね。ここで遊んでいてね」が通用する年代だ。インバウンドが主なターゲットだろうが、有楽町周辺にはラグジュアリーホテルが多く、高級飲食店、劇場もある。アッパーミドルの利用もあるかもしれない。子どもにとっても〝僕一人、夫婦そろって留守がいい〟になるかもしれない。
米国ノースカロライナから2週間の日程で来日しており、明後日(水曜日)帰国する30代の夫婦が見学のために訪れていたので話を聞いた(通訳は佐々木氏)。ご主人は東京マラソンにも出場し3時間40分で完走し、奥さんは皇居でトレーニングをしたのだという。訪れたのはムーミンパーク、ディズニーランド、スカイツリー、新宿(おもちゃ屋)、明治神宮などとか。この種の施設は米国にはなく、ベビーシッターを利用するのだそうだ。
見学のため訪れていたご夫婦
〝パパ、ママ、どこに行ってもいいけど、僕を捨てないでね〟
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