「d_ll TSUKUBA(ディ「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(左)と「大和ハウスつくば駅前ビル」
大和ハウス工業は3月27日、つくばエクスプレスつくば駅直結の複合施設「(仮称)つくば市吾妻20街区プロジェクト」が2月28日に竣工し、3月28日から順次オープンすると発表した。同日、五十嵐立青・つくば市長も出席した会見を行い、施設をメディアに公開した。
プロジェクトの敷地面積は約7,639㎡。「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(地上5階・地下1階建て)、「大和ハウスつくば駅前ビル」(地上4階建て)、立体駐車場「D-Parking つくば駅前ビル駐車場」(地上5階建て、駐車台数353台)の3棟から構成。3棟の延床面積は約20,933㎡。着工は2023年6月1日。施工は村本建設。
敷地の従前は国家公務員宿舎。2017年6月、茨城県から土地を取得。法定容積率が400%なのに対して、つくば市の要請を受け、敷地北側に位置する市立小学校への日影に配慮するため5階建てとし、容積率を大幅に余しているのが特徴。
「d_ll TSUKUBA」の1 階と2階にはクリニックや学習塾、カフェ、保育施設など16店舗が入居予定。3階~5階は最大36 区画に分割可能なオフィスフロア。オフィスフロアには、同社グループ会社の大和ハウスリアルティマネジメントやスタートアップ企業など16社が入居予定。オフィス天井高は2800・3000mm、賃料は2万円(共益費込み)/坪。現在、約8割のテナントが決まっている。「屋外デッキ接続エレベーター」を設置し、道路を挟んだ反対側の同社のホテルや商業施設とデッキで直接アクセスできるようにしている
「大和ハウスつくば駅前ビル」は、同社茨城支店と大和ハウスグループ会社3社が順次入居し、約200人のグループ従業員が勤務する拠点となる。フリーアドレスや集中ブースを設置する。1階には戸建住宅を検討している顧客との商談スペースやモデルルームを設けている。
2つのビルは環境配慮型施設として、屋上に太陽光発電システム(「d_ll TSUKUBA」約40kW、「大和ハウスつくば駅前ビル」約30kW)やリチウムイオン蓄電池を設置。「BELS」5つ星と「ZEB Ready」を取得している。
五十嵐氏は「市の中心市街地の取り組みは非常に大きな課題だった。市民からは将来を懸念する声が多く届いている。それが今、大きな変化が生まれている。センタービルはリニューアルされ大きな賑わいを見せており、今回の施設の隣ではスーパーシティの取り組みが進んでいる。70街区(吾妻二丁目国家公務員宿舎跡地)、中央公園のリニューアルなども進行中で、この施設はそのど真ん中に位置する。本来ならマンションが一番簡単だろうが、そうではなく地域に配慮されたことに感謝申し上げる。回遊性が高く、脱炭素の取り組みなど環境にも配慮していただいている。市の思いを汲んでいただいた」と挨拶した。
同社執行役員・高吉忠弘氏は、「2023年に着工後、建設現場の人手不足、計画の一部変更などで竣工が予定より若干遅れた(約3か月)が、先ほど市長様から過分なお褒めの言葉を頂き、本当に光栄に思います」などと応えた。
「d_ll TSUKUBA(ディ「d_ll TSUKUBA(ディールつくば)」(左)と「大和ハウスつくば駅前ビル」
左から五十嵐氏、同社茨城支店長・八友明彦氏、高吉氏
◇ ◆ ◇
この施設については、昨年5月30日に行われた地鎮祭・記者会見を取材し、記事にしているので参照していただきたい。肝は、市の要請を受け法定容積率を大幅に余し、建物を5階建てとし、隣接する市立小学校へ日影を落とさない配慮がなされていることだ。
そして、道路を挟んだ東側には3.83haの駅直結の中央公園もあるのも特徴の一つだ。
3.83haといえば、大阪駅に直結する「グラングリーン大阪」の都市公園「うめきた公園」4.5haには及ばないが、街づくりは対照的だ。「うめきた公園」は従前用途地域の準工業地域を商業地域に変更し、つまり日影規制を取り払うことで、南側の高層建築物を可能にした。
一方、今回の施設は公園との景観にも配慮したという。どちらがいいか。記者も分からない。取材後、公園側から施設を眺めた。公園の高木と施設の高さはほぼ同じが、高木の方が高かった。学校に面したビルの窓も極力小さくしたという。
左のビルの窓は小さく、幅が広い空間を挟んで右側は小学校の敷地
中央公園からの施設