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2025/05/14(水) 14:01

大和ハウス 2025年3月期 売上高、各利益とも過去最高更新 新事業も伸びる

投稿者:  牧田司

 大和ハウス工業は5月13日、2025年3月期決算を発表。売上高5兆4,348億円(前期比4.5%増)、営業利益5,462億円(同24.1%増)、経常利益5,159億円(同20.7%増)、純利益3,250億円(同8.8%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、純利益とも過去最高を更新した。売上高はコスモスイニシアと大和リゾートの連結変更に伴う1,337億円の減収があったものの、米国戸建て事業の拡大などにより4期連続増収。営業利益は退職給付に関する数理計算の差異1,12億円が発生したことなどにより4期連続の増益となった。

 セグメント別では、戸建住宅事業は売上高1兆1,445億円(前期比20.3%増)、営業利益698億円(同98.6%増)。米国事業が拡大し、国内分譲住宅2,257戸(前期1,760戸)を計上したのが売上げ増に寄与した。請負住宅の計上戸数は2,810戸(同3,424戸)。

 賃貸住宅事業は、売上高1兆3,760億円 (前期比10.1%増)、営業利益1,299億円 (同12.2%増)。請負・分譲事業、賃貸・管理事業とも堅調に推移した。

 マンション事業は、売上高2,694億円(前期比39.0%減)、営業利益109億円(同70.8%減)。コスモスイニシアが持分法適用関連会社になった影響(売上高1,241億円、営業利益74億円)や引き渡し戸数減などにより減収減益となった。営業利益率は4.0%(前期8.5%)。

 商業施設事業は、売上高1兆2,271億円(前期比3.9%増)、営業利益1,459億円(同1.6%増)。請負・分譲事業や都市型ホテル売却、ホテル運営事業が順調に伸びた。

 事業施設事業は、売上高1兆3,697億円(前期比5.8%増)、営業利益1,596億円(同29.5%増)。請負・分譲事業で価格転嫁やVE提案などの取り組みが順調に推移し、物流施設の売却が計画を上回ったことなどにより増収増益となった。

 次期業績予想は、売上高5兆6,000億円(前期比3.0%増)、営業利益4,700億円(同14.0%減)、経常利益4,300億円(同16.7%減)、純利益2,730億円(同16.0%減)を見込む。年間配当は165円(前期150円)の増配の予定。

◇        ◆     ◇

 同社は5月14日、マスコミ向けスモールミーティングを行い、同社代表取締役社長CEO・芳井敬一氏、同社代表取締役社長COO・大友浩嗣氏、同社代表取締役副社長CFO、経営管理本部長・香曽我部武氏が出席し、約1時間にわたって記者団の質問に答えた。記者は体調が悪く(腹痛、飲み過ぎではないはず)、オンラインで視聴した。

  もっとも興味深かったのは、今年4月1日付で行った機構改革について芳井氏がその意図などについて説明したことだ。組織改革は「ハウジング・ソリューション本部」を新設し、それぞれの事業本部の機能強化・合理化とさらなるガバナンス強化を目的に、従来の7事業本部から2大本部に再編するもので、組織および業務のスリム化・強靭化を目指すものだ。芳井氏は「これまでの縦割り組織に横ぐしを入れた。効果は早晩出る」と語った。

 考えてみれば、あらゆるビジネスはソリューションだ。今回の機構改革は、売上げ10兆円への布石だとも受け取れる。社内の風通しをよくすることで〝ワンチーム〟にステップアップする狙いがあると見た。

 このことと関連するかどうかはわからないが、2つの新規事業について大友氏は注目すべき発言をした。

 一つは、2023年10月に立ち上げた非住宅の木造化・木質化を推進するプロジェクト「Future with Wood(フューチャー・ウィズ・ウッド)」に対する質問だった。大友氏は〝待ってました〟と言わんばかりに「私が立ち上げたプロジェクト」と紹介し、前期売上げ目標70億円に対し実績は178億円で、今期は200億円に伸ばし、将来的には3,000億円を目指すと話した。

 もう一つは、2024年5月にグループ3社で立ち上げた事業施設・商業施設の不動産ストック事業ブランド「BIZ Livness(ビズ リブネス)」だ。同社グループがこれまで建築してきた事業施設約22,000件、店舗・商業施設など約48,000件のノウハウを活用し、既存施設の建て替え、バリューアップ工事を通じて付加価値の高い建築物にリニューアルする事業で、近い将来4,000億円のビジネスに拡大するという。

 この二つの事業で売上高目標は7,000億円だ。競争が激しい既存の戸建て事業や賃貸事業などと比べて、今後の市場拡大が望める分野だ。

 同社の連結従業員数は48,483人(2024年3月31日)だ。1人当たりの売上高は約1.1億円だ。2055年目標の売上げ10兆円に伸ばすには人員を倍増させる必要があるが、DXを活用し、個々の能力を最大限引き出せばそれほど難しいことではないような気もする。同社のこれからの動きからは目が離せない。芳井氏は不気味な動きを最近している。

 

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