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2025/05/31(土) 07:08

旭化成ホームズ 新中計 売上高1.2兆円 地方都市でマンション開発強化

投稿者:  牧田司

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左から高橋氏、大和久氏、常務執行役員兼海外事業本部長・新知徳氏(旭化成ホームズ本社で)

 旭化成ホームズは5月29日、「中期経営計画2027」を発表。前中計(2022年~2024年)で目標に掲げた売上高9,000億円、営業利益900億円は、2024年度決算では売上高9,935億円、営業利益913億円となるなど目標を達成したことを受け、今中計(2025年~2027年)では売上高1.2兆円、営業利益1,200億円を目指す。位置づけとしては、前中計を第一ステップ、今中計を第二ステップ、次期中計(2028年~2030年)を第三ステップとしている。

 基本方針としては、住宅事業一体となった成長戦略、成長に向けた資源投下、経営基盤の高度化の3つで、住宅事業一体となった成長戦略では建築請負部門、不動産部門、リフォーム部門が連携を強化し、顧客・建物データの蓄積、AIの利活用などにより新たな価値の創出を目指す。

 成長に向けた資源投下では、海外事業の拡大・集積力の向上、不開発事業の長期的成長に向けた仕込み、住宅事業の収益基盤の維持・拡大を目指す。

 経営基盤の高度化では、個の成長、強いチーム力を備えた人財戦略、事業創出を加速する制度の整備、循環型社会への貢献を軸とした環境戦略、DXを通じたデジタル戦略などを推進する。

 新中計発表会に臨んだ同社代表取締役社長・大和久裕二氏は、売上高1.6兆円、営業利益1,600億円を目標とする「旭化成ホームズグループVision for 2030」実現に向け、グループ全体がワンチームとして機能するようにすることを強調。強化する事業としては海外事業、不動産開発のほか、ホテル、オフィス、商業施設などの施設開発、中古住宅の買取再販、アパートメントホテルなどを挙げた。

◇        ◆     ◇

 記者は、守備範囲である不動産開発、主にマンション事業について聞いた。同社の事業ポートフォリオを見ると、2018年度は売上高6,047億円のうち建築請負部門は66.8%に当たる4,037億円で、不動産部門は22.4%に当たる1,354億円、海外部門はゼロだった。2024年度は売上高9,935億円のうち建築請負部門は42.2%の4,195億円、不動産部門は22.2%の2,208億円、海外部門は29.5%の2,930億円となっている。海外部門と不動産部門の伸長が事業ポートフォリオを転換していることが分かる。

 2027年度目標は、建築請負事業は4,590億円(2024年度比9.4%増)、不動産開発事業は610億円(同15.7%増)、海外事業は4,000億円(同36.5%増)。この段階では、不動産開発事業の伸びはそれほどでもない。610億円は確定値ともいえる。その先がどうなるかだ。

 記者は近い将来、マンション市場は10社くらいがリードする構造になると予想している。このうち野村不動産、三井不動産、住友不動産、三菱地所、東京建物、東急不動産、日鉄興和不動産あたりがほぼ確定しており、残りの3社は旭化成ホームズを含めた数社が大激戦を展開すると見ている。ブランド力が勝負だ。

 そこで、「御社の〝へーベル〟〝アトラス〟を知らなくても、サランラップを知らない人はいない。テレビではマラソンがいつもトップを走っているし、オリンピックでは柔道選手が活躍している。認知度、知名度ではどこにも負けない。しかし、610億円ではトップ10には届かない。その先を見据えた地方中核都市への進出とはどこか、具体的都市名をお聞きしたい」と質問した。

 これに対して、専務執行役員兼旭化成不動産レジデンス代表取締役社長・高橋謙治氏は「当社の強みである建て替え、再開発を武器に質の高い商品で勝負する。地方は、先に発表したように金沢、長野、(宇都宮)など10都市に留まらない。(20都市くらいか)それくらい」と答えた。

 仮に地方都市のマンション売上高を1物件50億円として20都市で1,000億円だ。これに首都圏など大都市圏のマンションが積みあがる。年間にして2,000~3,000億円で推移すればベスト10入りする可能性があると見た。不動産部門全体では現在の倍増の4,000億円が視野に入ってくる。

 

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