「KÚON 箱根強羅」エントランス
左から横瀬氏、坂本氏、渡部氏、永井氏(オープンハウスGINZA Ⅺラウンジ)
オープンハウスグループは8月1日、同社初の直営ホテル「KÚON 箱根強羅」を2025年11月に開業すると発表した。従前ホテルをリノベーションしたもので、客室数は14室。「KÚON」には、古語「久遠」の永遠・普遍の意味が込められている。〝きのうより少し、大人の自分になれる場所〟をテーマに、〝お茶と和菓子で五感をひらく、唯一無二のデザイナーズホテル〟を目指す。このほか、来年の冬、群馬県みどり市で第2弾を開業する。
初のホテル開発・運営に至った経緯・背景について、同社サステナビリティ推進部副部長・横瀬寛隆氏は、2025年3月期決算で売上高12,958億円にまで成長した同社の新たな収益源の確立とブランド価値の向上を目指すためと説明。今年5月に開業したNOT A HOTELとのシェア別荘型ホテルの共同開発によりノウハウを蓄積したと語った。
横瀬氏は1987年生まれ。慶大大学院理工学研究科修了。在学中は隈研吾研究室で建築と都市計画を学ぶ。卒業後は大手設計事務所、外資系デベロッパーなどを経て、2018年現職。同社は「地域共創」も重要なテーマとして位置づけており、同社創業者で会長の荒井正昭氏の出身地である群馬県のみなかみ町などで取り組んでいる。横瀬氏は群馬県を中心とする地域共創事業の責任者も務める。
運営を担当するのは昨年10月に設立されたオープンハウス・ホテルズ&リゾーツ。同社代表取締役・渡部達也氏は、星野リゾートでキャリアをスタートさせ、約10年間、運営の最前線からマネジメントまで担当した経験を生かし、「変わり続ける時代に変わらない価値を届けるため、おもてなしと運営手法にイノベーションを起こし続ける組織として、旅を通じて普遍的なおもてなしを届ける。『KÚON 箱根強羅』は、既存ストックの活用と工期短縮、建築コストの削減を実現した持続可能な開発プランである」と語った。
〝お茶と和菓子で五感をひらく、唯一無二のデザイナーズホテル〟がコンセプトであることから、会見では和菓子作家「紫をん」代表・坂本志穂氏が和菓子のデモンストレーションを行い、内装・インテリア監修パートナーとしてプロジェクトに参加しているnegu.incの永井健太氏がエントランス、客室、レストラン、カフェラウンジなどを画像で説明した。
施設は、東京駅から電車で1時間30分、都内から車で1時間30分、神奈川県足柄下郡箱根町強羅に位置する敷地面積約2,286㎡、地下1階地上2階建て延床面積約906㎡(このほか駐車場約198㎡)。2009年竣工のホテルをリノベーションしたもので全14室。客室面積は32㎡と42㎡の2タイプ。源泉かけ流し温泉付き(42㎡は露天風呂)。チェックイン・チェックアウトは13:00・10:00。宿泊料金は42,000円~/人。運営はオープンハウス・ホテルズ&リゾーツ。開業は2025年11月8日。8月1日から予約を開始した。
「hinenos-ひねもす-」(左)と「nocturne」
坂本氏(左)と渡部氏
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会見場では、坂本氏による創作和菓子「hinenos-ひねもす-」と錦玉製※「nocturne」に新茶と水出し玉露茶が供された。また、スーツ姿の横瀬氏以外はいかにも和菓子作家、デザイナーらしいファッション・いでたちに、がさつを地で行く記者は面食らった。えもいわれぬ味の創作和菓子と、茶碗ではないグラスによる玉露茶のおもてなしは、荒井会長や〝便利地、好立地〟の同社の戸建てやマンション、同社野球部の面々のイメージとは全然一致せず、むしろ真逆だった。(リゾート地としての「強羅」は〝便利地、好立地〟かも知れないが)
このことを横瀬氏に尋ねたら、「確かに当社が分譲する駅近マンションや戸建てとは異なるかもしれない。ブランドイメージの底上げも狙いの一つ」と語った。
なるほど。主なターゲットになるはずの、訪日外国人にとって同社のマンションや戸建てを知る人は皆無のはずだし、いまわが国の抹茶は世界的ブームだそうだ。追い風になるかもしれない。
※錦玉製(キンギョクセイ) 寒天と砂糖を煮詰め、冷やし固めたもの。読み間違えないよう注意が必要
会見場(オープンハウスGINZA Ⅺラウンジ)
お茶と和菓子のデモンストレーション(観葉植物は左は茶の木、右はホウライショウ(蓬莱蕉・モンステラ)
イメージ(以下、同じ)
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