令和7年都道府県地価調査は、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地いずれも4年連続の上昇となり、上昇幅も拡大した。経済活動の回復が進み、インフレ傾向も定着しつつある。国内外から人が集まる都市中心部や観光地での需要が底堅く、全体的な上昇基調が継続している。一方で、関税問題や金融市場の変動が経済に与える影響については今後も注視していく必要がある。
人的資本への投資意欲の高まりを背景に、高付加価値なオフィスの需要は多く、空室率の低下と賃料の上昇が続いている。例えば大阪駅前に約4.5haの都市公園を整備した「グラングリーン大阪」では、緑地空間の創出が価値の一つとして評価され、多くの入居希望をいただいた。
なお当社では本年5月に「まちまるごとワークプレイス」構想を掲げ、東京・丸の内エリアにおいて1社単独では実現できないことをまち全体でサポートする、付加価値型のまちづくりを強化している。今後もハード・ソフト両面からまち・ビルの魅力づくりを実践し、良質なオフィスの提供とともに、オフィス賃料水準の向上にも取り組んでいく。
商業施設やホテルの需要は引き続き好調で、2025年に日本上陸25周年を迎えた「プレミアム・アウトレット」は、2024年度のテナント売上高が4,345億円と過去最高を記録した。また当社が空港事業やホテル事業を手掛ける宮古島エリアでは、ウルトラ・ラグジュアリー・ライフスタイル・ホテル「ローズウッド宮古島」が2025年3月に開業したほか、来春には「キャノピーby ヒルトン沖縄宮古島リゾート」の開業を予定しており、今後も宮古島の皆様とともに地域振興に取り組んでいきたいと考えている。
工業地ではe コマース市場の拡大による大型物流施設用地への需要が地価に影響を与えているが、トラック運転手不足など物流をとりまく課題は依然として解決していない。この課題に対応すべく、次世代モビリティに対応する高速道路IC直結の基幹物流構想を関西圏(京都府城陽市)・東北圏(宮城県仙台市)で進めているが、このほど関東圏で初となる旧上瀬谷通信施設地区(神奈川県横浜市)での開発計画を始動した。
住宅の需要も堅調で、先月より販売を開始した「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」も実需層を中心に非常に多くの反響をいただいている。分譲マンション価格は引き続き上昇しているが、特に都心部では購入者層の購買力も向上しており、販売は好調。一方、土地代や工事費は高止まりの傾向が続いており、今後も高値で推移すると考えられる。