東京都の緑被率(都はみどり率の指標を用いている)を調べていたら、凄い調査研究論文を見つけた。立正大学の榎本毅氏による「東京23区における緑化の現状に関する研究」だ。
榎本氏の論文によると、「緑被率の低い地域は緑被率の高い地域に比べ全ての調査区において7.6%~52.9%二酸化炭素排出量が増加していることを確認できた」とあり、「所得においても関係があるのか、野村総合研究所のエリア別の推計結果『世帯当たり年間総所得』を参考にした(緑被率の高い地域、低い地域)における年間総所得は千代田区(950~1,100、580~620)、中央区(680~720、580~620)、港区(1,250~1,500、1,100~1,250)、新宿区(850~950、650~680)、文京区(720~780、580~620)、台東区(650~680、580~620)、墨田区(580~620、580~620)、江東区(650~680、580~620)、品川区(650~680、560~580)、目黒区(950~1,100、650~680)、世田谷区(720~780、580~620)、渋谷区(950~1,100、850~950)、中野区(580~600、500~530)、杉並区(680~720、530~560)、豊島区(680~720、580~620)、練馬区(680~720、580~620)であった(単位:万円)。この結果から墨田区においては解明する点もあるが、緑被率と所得については相関関係があると考えられる」としている。
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緑被率の低い地域は緑被率の高い地域と比べて二酸化炭素排出量が増加するというのは理解できるのだが、緑被率の高い地域に住む人のほうが低い地域に住む人より所得が多いことが調査で確認できたことが凄い(記者は、金持ちは絶対緑が多い山の手に住むと考えてきたが)。
例えば千代田区。緑被率の高いエリアに住む人の年収は950~1,100万円で、緑被率の低いエリアに住む人の580~620万円と比べ実に370~480万円の差がある。この他、目黒区は300~420万円、世田谷区は140~160万円、文京区は140~160万円、区全体として緑被率が低い台東区でも70~60万円の差がある。平均すると100万円くらいの差がある。緑被率が高い戸建てに住んでいる人のほうが年収が高いということだろうか(最近の分譲戸建ては敷地面積が狭く、ほとんどコンクリで固められるので、ぺんぺん草も生えないが)。
やはり区全体の緑被率が低い墨田区は所得差がないことについては記者もよくわからないが、緑被率より他の要素を重視するアジア系のコミュニティが形成されているのと関係がありそうな気がするのだが…。