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2013/08/05(月) 00:00

優秀マンション表彰は総体で評価すべき

投稿者:  牧田 司記者

マンションは総体として評価すべき

週刊住宅「首都圏優秀マンション」表彰について


 「週刊住宅」の平成24年度「首都圏優秀マンション」表彰で最優秀賞に三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザタワー」と野村不動産・三菱商事「プラウド船橋」が選定された。また、「都心中規模マンション」では野村不動産・三井物産「プラウド南麻布」、「都心小規模マンション」には野村不動産「プラウド高輪三丁目」、「郊外中規模マンション」では大京「ライオンズ立川グランフォート」、「週刊住宅新聞社賞」には東急不動産「ブランズ四番町」がそれぞれ選定された。「郊外中規模マンション」は該当作がなかった。

 この受賞について異論を挟むつもりはない。それどころか、パークコート千代田富士見ザタワー」と「プラウド船橋」は2物件とも、記者も昨年の「ベスト3マンション」に選んだぐらいだから、もっともな評価だろうと思う。異なるのは記者は「甲か乙か」というような評価をしていないという点だ。都心の富裕層向けと郊外の第1次取得層向けの物件に点数を付けて比較することなど記者はできない。

 残念なのは、都心、郊外、大規模、中・小規模ともほとんど全てが「大手」物件で、中小デベロッパーが得意とする「郊外中規模マンション」に該当物件がないことだ。これは、リーマンショック後、加速度的に進んでいる大手の寡占化市場の反映だろう。

 しかし、それでも中小デベロッパーの事業、物件を顕彰する意味でも選定する努力をしてほしい。そもそも千葉や埼玉の物件というだけで基礎点が少ないというのも問題だし、都心に近い物件ほど、中小規模より大規模物件のほうが基礎点が高いという配点は再考の余地があるのではないか。これは不公平だ。

 つまり、「立地」「専有部」「住環境」「建物・構造」などを点数化・ランク付けして評価すること自体に問題がある。マンションの性能をレーダーチャートに落とし込むことは簡単ではない。仮にそうしたところで、マンションを評価したことにはならない。

 最悪の立地条件であっても、商品企画に工夫を凝らしユーザーの心を捉えた物件は数え切れないほどある。子育て環境を重視すれば、駅に近い商業地域のマンションより駅から遠い住居系用途地域のほうがいいことも考えられる。2,000万円台、3,000万円台の第1次取得層向けの中小規模マンションにコストアップ要因となる免震を採用し、共用施設・設備仕様を充実させることなどは極めて困難なことだ。

 さらに言えば、マンションの評価は絶対評価でも相対評価でもない総体として評価すべきだと思う。記者がいつも念頭に置いているのは、その土地の特性を最大限に生かす工夫がなされているか、難点をいかにカバーするか、ユーザーの取得意欲を刺激するものかどうかだ。広い意味でデザイン性にも目を配る。

 

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