
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が先に発表した首都圏中古マンション暦年データは、成約件数、成約単価、成約価格とも大幅に伸びていることを示しているが、都県別に見ると、市場を牽引しているのは都心部を中心とする都区部で、郊外部は2016年比で成約単価・価格とも50%前後にとどまっている。新築価格は都心部・郊外部とも上昇が続いており、一般的な需要層の取得能力の限界を超えている。都心志向がさらに強まるのか、郊外が見直されるのか、中古市場の動向が注目される。
2025年の成約件数は49,114戸で前年比31.9%増と大幅に増加した。都県別にみると東京都は26,439戸(前年比31.6%増)、神奈川県は11,670戸(同37.1%増)、埼玉県は5,628戸(同36.1%増)、千葉県は5,377戸(同19.9%増)で、比率は東京都が53.8%を占め、神奈川県は23.8%、埼玉県は11.5%、千葉県は10.9%となっている。
比率を2016年比で見ると、東京都は3.2ポイント増、神奈川県は1.3ポイント減、埼玉県は0.5ポイント減、千葉県は1.4ポイント減となっており、都心志向が加速していることが分かる。
都心志向を牽引しているのは都区部で、2025年は首都圏全体の44.6%を占めており、2016年比で3.5ポイント増加している。一方、多摩エリアの比率は2016年比1.7ポイント減の17.1%となっている。
2025年の坪単価は前年比7.9%上昇の273.8万円。都県別に見ると、東京都は383.0万円(前年比12.2%上昇)、神奈川県は191.6万円(同0.4%下落)、埼玉県は142.5万円(同1.3%下落)、千葉県は131.5万円(同1.3%下落)。都区部は431.4万円(同13.2%上昇)となっており、東京都のみが上昇した。
坪単価上昇率を2016年比で見ると、首都圏全体では173.2%で、都県別では東京都が181.3%(都区部は184.2%)、神奈川県が144.6%、埼玉県が150.4%、千葉県が151.3となっている。
なかでも都心3区(千代田区・中央区・港区)の成約件数、坪単価の上昇が目立つ。2025年の都心3区の成約件数は3,283件となり、前年比28.8%増加した。坪単価を比較するデータはないが、レインズデータから類推すると、2024年の都心3区の坪単価は約640万円、2025年は約780万円で、20%以上上昇したと思われる。
2025年の成約価格は5,200万円(前年比106.3%)で、東京都が6,766万円(同110.1%)、神奈川県が3,832万円(同98.3%)、埼玉県が2,910万円(同97.7%)、千葉県が2,865万円(同98.4%)となった。
2016年比上昇率は全体では170.6%で、都県別では東京都が179.4%(都区部は183.2%)、神奈川県が143.6%、埼玉県が149.4%、千葉県が148.8となっている。
単価上昇率を価格上昇率が下回っているのは、面積縮小が続いていることと考え合わせると、市場には絶えず価格下げ圧力がかかっていることをうかがわせる。
今後、中古マンション市場がどう動くか分からないが、都心部ではバブル期のように、新築価格を中古価格がリードしており、この傾向はさらに強まると思われる。一方で、郊外部では単価・価格変動率は穏やかに推移しており、価格的優位性は高まっている。居住水準もここ数年間の新築より高い物件も少なくなく、リフォーム・リノベーションを通じ付加価値を高め、多様化する需要層のニーズに応える商品企画力が問われる。

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参考までに、東京都港区の課税標準額が1億円以上の高額納税者のこの10年間の推移と、高額納税者が収めた所得割額の推移を紹介する。これらの層の一人当たり年間所得は3~4億円と思われ、引き続き新築・中古マンション市場を牽引するものと思われる。


