
国土交通省「不動産情報ライブラリ」から作成※はリフォーム済み
郊外駅圏の中古マンション成約事例.pdf
坪単価差10倍-別表は国土交通省のWEB「不動産情報ライブラリ」に登録されている2025年に取引された東京都のある郊外駅圏の地域を特定した中古マンション取引データを示したものだ。中古マンション価格は駅からの距離、築年数などによって変動するが、この駅圏エリアでは最高単価と最低単価は何と10倍の差があることが分かった。
ある郊外駅圏といっても、東京駅から電車で約1時間、住宅地としても人気の高い地域として知られているところだ。新築マンションが供給されたら坪単価は400万円をはるかに突破するとみられている。
このエリアで昨年取引された中古マンションの事例は55件。平均値は坪単価141.3万円、成約価格3,164万円、平均専有面積73.9㎡、駅徒歩12.3分となっている。
別表は、データを坪単価(降順)を最優先して並べ替えたものだ。最高坪単価は、駅からは徒歩6分の2017年竣工の334.7万円(価格7,100万円)だ。この駅圏では数年前、駅から徒歩9分で分譲されたマンションの坪単価は252万円だった。それよりも32.8%も高い。今の中古マンション市場を象徴する物件でもある。
このほか、2000年までに竣工した中古マンションの坪単価は135.3万円以上となっている。これに対して、1987年以前の物件はほとんど坪100万円を割っている。
驚くべきなのは、何と坪50万円以下が7物件あることだ。最低単価は坪33.0万円で、最高単価の約10分の1、平均値と比較してもほぼ3分の1だ。
一般の人同士の売買なら他人がとやかくいう問題ではないし、中にはいわゆる〝心理的瑕疵〟物件もあるかもしれない。1981年(昭和56年)以前の築古物件は相場より安くなるのは理解できる。
しかし、これらの低価格の売買には間違いなく仲介業者が介在している。データを並べ替えると、安値で仕入れ高値で売却する〝手口〟が見え隠れする。例えば、1987年築の物件は2,600万円(75㎡)で仕入れ、価格を1,000万円上乗せして3,600万円で、1978年築の物件は650万円(65㎡)で仕入れ、2倍の1,300万円でそれぞれ売却したと思われる。
思い当たる節はある。記者の自宅マンションの売却を勧める電話がかかってくることがある。黙って聞いていると、リゾートマンションのような信じられないような低価格を提示される。
相手にしないで電話を切るのだが、買取再販業者は片っ端から電話勧誘を行っているのだろう。素人の人ならこの種の言葉巧みな電話勧誘に引き込まれるかもしれない。
エリアを限定した取引事例だけでこれほどの事例がある。首都圏全域に広げたら数百倍、年間数千件に達するのではないか。〝詐欺電話〟そのものといったら失礼か。
どうして、このような詐欺電話のような売買が後を絶たないのか。すべてが不動産情報の非対称性がもたらした結果だ。消費者には適正な不動産情報が伝えられないのだから、判断の下しようがない。
国土交通省や国民生活センターは電話勧誘などに注意喚起を呼び掛けているが、果たしてどれくらい効果を上げているか…。
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実態がどうなのか調べてみた。国民生活センターの消費生活相談データベースから「分譲マンション販売方法」で検索したら、2021年度から2026年度まで年間1,000件以上、約6,000の事例がある。「突然の電話でマンションの売却を持ち掛けられ、昨日来訪で売買契約した。契約書が無く説明不足で不安なのだがどうすればよいか」「複数の不動産事業者からマンション売却の勧誘電話がかかってきて迷惑だ。電話をやめさせるにどうしたらよいか」などだ。
原野商法の二次被害トラブルに関する相談も増加しているようだ。データは古いが、2017年度は1,196件と前年同期と比べ約1.8倍となっている。
リースバックに関する相談件数は、2019年の24件から2024年には239件へ増加している。
投資用マンションに関する相談件数は減少傾向にあるが、20歳代は2013年度の160件から年々増加し、2018年度(2019年2月28日時点)は405件と2.5倍になっている。国土交通省の注意喚起の呼びかけを添付する。

