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2013/08/26(月) 12:00

全国の「不動産賃貸・管理業」 全産業トップの約25.5万カ所

投稿者:  牧田司

参入障壁が低く報酬額が守られているのが要因 

 

 国土交通省が平成24年度の宅地建物取引業の施行状況をまとめ発表した。調査によると、平成25 年3月末(平成24 年度末)現在の宅地建物取引業者数は大臣免許が2,137 業者、知事免許が120,373 業者で、全体では122,510 業者となっている。監督処分は免許取り消しが129件、業務停止や指示処分を含めた全体は258件で、全体の処分件数は平成15年度と比較すると28.3%減となっている。

 業者数は平成15年度と比較すると大臣免許が5.3%増、知事免許が6.2%減、合計が6.0%減。過去20年間で業者数は13.8%減少している。

      ◆      ◇

 一般の方も読まれるので、宅地建物取引業(宅建業)について少し説明しよう。

 宅建業法は、宅建業の健全な発展と消費者保護を主な目的とする法律で、免許を受けなければ業として宅建業を営むことは禁止されている。免許を申請する際、1つ以上の都道府県に事務所を設ける場合は大臣免許を、1つの都道府県内に事務所を設置する場合は知事免許を受けなければならない。知事免許が多いのは、いわゆる「街の不動産屋」さんが業者の数としては圧倒的に多いからだ。

 免許基準のハードルはそれほど高くない。もっとも重要なのは、一定の宅地建物取引主任者(宅建主任者)を置かなければならないことだが、宅建主任者の資格は高校卒業程度の学力があり一生懸命勉強すれば取得できる。試験範囲は民法、建築基準法、宅建業法などに限られており、他の国家資格と比較して範囲は広くない。

      ◆      ◇

 さて、この全国で約12.3万の業者数が多いか少ないか。判断材料として総務省の「平成18年事業所・企業統計調査」を紹介する。この調査はわが国の全ての産業の事業所、企業の数や従事者をまとめたものだ。

 これによると、不動産業の事務所は全国で約32.0万、従事者は約101万人となっている。これは全産業(約591万事業所、従事者約5,863万人)を16に分けた大分類では事業所数としては7番目、従事者数としては11番目で決して多いほうではない。

 ところが、事業所を420の小分類に分けた数字では、いわゆる街の不動産屋さんと呼ばれる「不動産賃貸・管理業」は約25.5万にのぼりトップに君臨する。

 いかに多いかを他と比較してみよう。次いで多い「食堂・レストラン」が約23.5万で、以下、「医療業」23.3万、「教育・学習支援業」23.2万、「総合工事業」22.5万と続く。「美容業」17.6万、「バー・キャバレー」15.2万、「酒場・ビアホール」15.2万、「理容業」11.7万、「喫茶店」8.1万、「書籍・文房具小売店」5.1万などをはるかにしのぐ。

 事業所の減少スピードも緩やかだ。「不動産賃貸・管理業」は平成13年と比べて2.9%減少しているが、これは全産業の減少率6.9%と比較しても少ない。「医療・福祉」や「ネット関連」の事業所以外の製造業や小売り・サービス業が激減しているのと対象的だ。比較が適当かどうかは分からないが、規制が強化されて激減している「貸金業」(約0.7万)は39.4%減少しているし、「野菜・果実業」(約2.6万)もスーパー・コンビニに押されてか19.4%も減少している。

 注目すべきなのは、事業所の数が多いのに比べて従事者の数が少ないことだ。「不動産賃貸・管理業」の従事者は68.1万人だから、1事業所当たり約2.7人だ。「食堂・レストラン」の1事業所あたり従事者は約7.8人だ。いかに「不動産賃貸・管理業」は零細・個人業が多いかが分かる。

 少人数でも業として不動産業を営むことができるのは、事業参入障壁がほとんどないこともあるが、取引額が400万円以上の場合、報酬額は「取引価格」×3%+6万円として法律で守られていることと無関係ではないと思う。

 今回の調査で処分には至らない「勧告等」が848件で、15年度比34.8%増えているのは気になる材料だが、処分件数は平成15年と比べ約28%減少しているのはせめてもの救いだ。

 

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