
「TOKYO FOOD LAB」
東京建物は8月6日、「TOKYO FOOD LAB報道関係者向け説明会」を開催。京橋で運営していた旧・TOKYO FOOD LABの機能をアップデートして東京駅前の八重洲に開設したと発表した。
新拠点は、東京駅から徒歩5分、中央区八重洲1丁目に位置する八重洲いちのごビル2階、面積は約85㎡、座席数は計22席(テーブル16席、カウンター6席)。
YNK(八重洲・日本橋・京橋)の食のエコシステムの中で「開発・実証・社会実装」を一気通貫で担う拠点で、付帯設備はグランメゾン級厨房機器・食器・グラス類、音響映像機器を備えている。
第一弾として、「食の旅 SHOKU-TABI」を8月6日にスタートさせた。若手料理人コミュニティ「CLUB RED」と共創し、人形町「ars」高木和也シェフが世界自然遺産に認定されている鹿児島県徳之島の産地に訪れ、生産者や食材のストーリーから考案した「いのちと長寿」がテーマ。コース料理は2~3万円で、予約が必要。
「食の旅SHOKU-TABI」では、日本全国のさまざまな地域に焦点を当て、その土地ならではの魅力的な食材やそのストーリーを、CLUB REDに所属するシェフたちが週替わりで手掛ける一期一会の食体験ラボ。「Regenerative City Tokyo」構想の実現に向けた取り組みの一つとして、食を入口に、地域・シェフ・企業をつなぎ、都市と地域の間で食材・シェフ・人流の価値が相互に循環することを目指す。
同社は、江戸時代から食文化の中心として発展してきたYNKエリアの歴史を生かす取り組みを行っており、2019~2025年に運営した「TOKYO FOOD LAB」では、シェフやスタートアップの商品・メニュー開発を支援し、その成果を実店舗展開へとつなげてきた。2024年11月には、スペインの食の教育・研究機関BCCと連携し、国際拠点「GIC Tokyo」を開設。シェフのリスキリングや企業との共創、食関連スタートアップ支援を通じて、食のイノベーションを促進している。
CLUB REDは、ぐるなびが主催する、日本最大級の若手料理人(35歳以下)で構成する約500人のコミュニティ。世界で活躍できるシェフを輩出・育成するコンペ「RED U-35」はこれまで12回開催されている。審査は500人の応募の中から書類審査-映像審査-オンライン面接審査-調理+面接審査を経て1名のトップシェフを選出する。これまでの平均客単価は17,000円。
説明会で同社まちづくり推進部FOOD&イノベーションシティ推進室長・沢田明大氏とCLUB RED事務局(ぐるなび執行役員 食と観光事業部長)・西原史郎氏が盛り沢山の説明メニューを駆け足でこなし、発表会後には「TOKYO FOOD LAB」と「シーベスタンド」の施設見学・試食会が行われた。

「TOKYO FOOD LAB」客席

路地

CLUB RED ネットワーク

沢田氏(左)と西原氏
◇ ◆ ◇
記者はここ30年以上、糖尿病治療の一環として、酒を飲むために食事の量を減らすことにしている。医者は「筋肉量が極端に少ない」と呆れかえっているほどだ。〝食〟にはこだわりはなく、沢田氏と西原氏の話はやや化不良に終わった。
しかし、「TOKYO FOOD LAB」で提供された高木シェフの3品の料理のうち、徳之島のヤコウガイとキャビアなどを用いたパスタと、ドラゴンフルーツ、ソデイカなどを用いた料理は、間違いなく一級品だ(今は高級料理店は利用しないが、かつてはそこそこ利用しており、美醜・味覚は人並み以上の自信はある)。もう一つの豚足ステーキは全然分からなかった。かつてせんべろでよく食べた豚骨とは似て非なるものだった。
「シーベスタンド」は海藻を養殖しているスタートアップで、海藻ラーメンや海藻ビールなどが楽しめるそうだ。伊勢のり本場出身の記者は無理を言ってアオサを食べさせてもらった。伊勢のりは高くなったが、アオサはそんなに高くない。味噌汁もいいが、乾燥されたものをそのままあぶって、細かくし醤油をかけて(カツオ節は好み)食べるのが一番。酒のつまみに最適。
世界的にも数例しかない、日本初の水中彫刻「Ocean Gaia(オーシャンガイア)」が徳之島に誕生したそうだ。画像が紹介された。ミレイ「オフィーリア」も連想させるが、カパネル「ヴィーナス誕生」のように美しい。時間の経過とともにサンゴが着生し、藻場や漁礁としても機能するという。モデルは水原希子氏。
取材後、発表会会場となった東京建物八重洲ビル地下1階の「伊勢角屋麦酒」で地酒「八兵衛」を飲もうと思ったのだが、置いておらず(地元でもなかなか手に入らない名酒)、「TOFROM YAESU」に道路を挟んで隣接する「トロ政」で長野県の「鼎」と「甍」を飲んだ。「鼎」はどちらかといえば甘口だが、野性的な甘さで、どこかの下戸の甘口記者とは全然異なる。「甍」は「鼎」より値段が高く、すっきりして飲みやすいが、記者はやはり「鼎」に軍配を上げる。

「TOKYO FOOD LAB」コース料理(見本)

提供された料理

髙橋シェフ

「シーベスタンド」の床(左=レンガ敷きで海藻を取り込んだデザイン)と海藻(左からアオサ、ミリン、みる、スーナ)

「Ocean Gaia(オーシャンガイア)」

カパネル「ヴィーナス誕生」

「TOFROM YAESU TOWER」北東側(左)と東側外観(丸の内にも日本橋にもない、いかにも八重洲らしい新しい100尺ラインがやがてヴェールを脱ぐ)

