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2013/09/01(日) 11:44

マンションの売れ行き バブリーな様相

投稿者:  牧田司

7月の住宅着工 前年同月比二ケタ、11カ月連続増加

  国土交通省は8月30日、平成25年7月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は前年同月比12.0%増、11カ月連続増加の84,459戸となった。内訳は持家が31,475戸(前年同月比11.1%増、11カ月連続増)、貸家が31,012戸(同19.4%増、5カ月連続増)、分譲住宅が21,361戸(同4.3%増、3か月連続増)。分譲住宅の内訳はマンションが9,977戸(同0.6%増、3か月連続増)、一戸建住宅が11,305戸(同8.4%増、11か月連続増)。

 首都圏マンションは、東京都が2,762戸(前年同月比37.3%減)、神奈川県が602戸(同63.5%減)、埼玉県が627戸(同283.9%)、千葉県が526戸(同54.7%増)。

 今回の結果について国交省は「リーマンショックを受けた大幅な下落(平成21 年度)以降、緩やかな持ち直しの傾向が続いてきたが、このところ、消費マインドの改善等もあり、堅調に推移している」としている。

◇    ◆   ◇ 

 マンションの着工戸数は過去最高だった平成2年度は約24.8万戸(首都圏は約8.9万戸)で、バブル崩壊後の最高記録は平成17年度の約23.1万戸(首都圏は約12.5万戸)だ。最近の首都圏マンションは平成23年度が約69,000戸、24年度が約72,000戸で、今年度も前年度並みになると予想される。過去最高だった平成17年度にもバブル期の水準にも届かないので、決して多いわけではない。消費増税の駆け込み需要を見越した着工であり、市場の回復を反映した数字だ。

 バブル期は首都圏近郊の各県でリゾートマンションが約1万戸ぐらい着工されていたし、価格が桁違いだったことを別にして戸数そのものに限ってみれば、単身者・DINKS需要が劇的に増加している現在の市場構造からすれば、やや東京都に集中しすぎている傾向はあるが、最近の着工戸数を吸収する力は市場には十分あると見る。

 戸数はともかく、もう一つ注視しなければならないのは売れ行きと価格上昇だ。民間の調査機関の調べによると、マンションの売れ行きを計る月間契約率(その月内に分譲されたマンションが月末までに何%売れたかを示すデータ)は80%を越えている。デベロッパーは「売れ残り」の印象をさけるため全体の供給戸数を数回に分けて供給する(期分け)するのが一般的になっているので、高い水準をマークするのは当然だが、それにしてもこのところの売れ行きはバブリーな様相を呈している。月間契約率が80%台というのはバブル期なみの数値だ。坪単価が300万円前後の都心部や準都心部のタワーマンションが数百戸単位で飛ぶように売れている。郊外部の一次取得層向けの物件も総じて好調だ。流れに乗り遅れまいとする消費性向が見て取れる。これは異常だ。

 好調な市場を背景に、この秋分譲のマンションが軒並み価格アップするのも懸念材料だ。1年前の相場と比べ少なくとも1割、立地条件の恵まれたものは2割は上昇すると見ている。消費増税の対応策としてローン減税や現金給付も予定されているが、建築費上昇・価格アップで対応策は吹っ飛ぶ。記者は都心・準都心部で坪単価250万円、郊外で坪単価200万円が一般的なサラリーマンの取得限界とみているが、いまは限界点に近づいている。

 消費増税がどうなるか分からないが、2020年の東京オリンピック招致が決まれば9分9厘実施が決定されるのではないか。消費を促す、サラリーマンの住宅取得能力を引き上げる具体策を打ち出して欲しい。そうでないと、所得格差の拡大が広がりマンション市場もいびつな市場になる。都心部も郊外部も、大手も中小もバランスよく売れるのが健全な市場だ。

 

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