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2013/10/03(木) 12:03

商・住一体の三井不レジ「パークタワー新川崎」

投稿者:  牧田司

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「パークタワー新川崎」完成予想図

「新川崎」「鹿島田」の2つの駅をデッキで結ぶ

 三井不動産レジデンシャルは10月2日、川崎市幸区鹿島田で開発中の47 階建て免震タワーマンション「パークタワー新川崎」のモデルルーム記者見学会を行い、10 月5 日から一般に公開すると発表した。商住一体開発で、マンション全住戸に蓄電池を搭載しHENS連携システムをわが国で初めて導入するほか、「新川崎」「鹿島田」の2駅を新設のペデストリアンデッキで結ぶ。

 物件は、JR 横須賀線・JR 湘南新宿ライン新川崎駅から徒歩3 分、またはJR 南武線鹿島田駅から徒歩4 分、川崎市幸区鹿島田字向島に位置する47階建て全670 戸(事業協力者住戸12 戸含む)。他に店舗3 区画、事業協力者用店舗16 区画。専有面積は45.21~92.04㎡、予定価格は3,300 万円台~8,400 万円台(最多価格帯4,400 万円台)、坪単価は未定だが250~260万円に落ち着く模様だ。設計・監理は松田平田設計。施工は清水建設。竣工予定は平成27 年3 月中旬。

 地権者である三井不動産レジデンシャルや川崎市などが出資した「鹿島田駅西部地区再開発会社」が事業主となっている「鹿島田駅西部地区第一種市街地再開発事業」で、現地の開発面積は約2.3ha。住宅棟と商業・施設棟からなる複合開発。

 従来は狭隘な道路が多くアクセスに難があった「鹿島田」「新川崎」の2つの駅を地上から3層分の高さのペデストリアンデッキで結ぶのも大きな特徴。利便性が一挙に高まる。

 商品企画では、日立製作所・日立マクセルとの共同開発により、“日本初”のマンション各住戸内に設置する蓄電池・HEMS 連携システムを全戸に導入。各住戸の電気代節約と電力需給ピークカットや非常用電源を確保する。また、居住者同士の交流を育む「防災」「エコ」「多世代居住」「コミュニティ」「ユニバーサルデザイン」などのテーマを企画に反映している。「CASBEE川崎」の最高ランク「S」も取得している。

 見学会で挨拶した同社執行役員横浜支店長・徳川浩一氏は、「今回のプロジェクトは、1988年に竣工した『新川崎三井ビル』、約1,600戸の『パークシティ新川崎』とつながる商・住の再開発事業。両駅をペデストリアンデッキで結び利便性の向上にも貢献したい」と話した。

 これまで問い合わせ件数は5,000件超、来場者は1,000件超で、11月に分譲予定の1期1次は280戸ぐらいを予定している。

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リビング

◇       ◆      ◇

 なかなか見どころのある、考えさせられるマンションだ。第一に事業者について。再開発や区画整理の事業者には「個人」でもなれるから「会社」でも可能なのだろうが、今回、初めて「開発会社」が事業主になっているのを知った。神奈川県では初だそうだ。「組合」より意思決定がスムーズに行え、事業スピードを上げるのに効果的なようだ。

 もう一つは蓄電池。大きさは幅65㎝、高さ13㎝、奥行き38㎝、重さ24㎏のコンパクトなもので、デッドスペースになっている冷蔵庫の上に棚を設置して置くのだそうだ。1.4kwの放電が可能。「見える化」は、今回は電気とガスだけだが「水」も可能だという。

 「ユニバーサルデザイン」がテーマになっているのも注目される。東京電機大准教授・渡邊朗子氏がプランニングした回遊性が高く引き戸を多用した専有部、建築家・渥美利幸氏が監修した車椅子でも利用できるトイレなど共用部の取り組みが紹介された。

 記者は10数年前、同社が横浜で画期的なユニバーサルデザインをテーマにしたマンションを分譲したのを見学している。今では当たり前になっている浴槽のワンプッシュ排水栓も標準装備されていた。あのときの衝撃度と比べると、専有部の取り組みは物足りなさを感じた。

 縦1列の住戸でいいから他社が真似できないものを採用してほしい。廊下幅は1.2mぐらいにし、トイレスペースは改造すれば広くなるものとか、ドアの幅は90㎝ぐらいにするなどの工夫だ。

 2段のキッチンシンク、段差を設けたキャビネットカウンター、キッチン内を隠せる引き戸などはいいアイデアだと思う。熟年夫婦の入居を想定した夫婦別ベッド(寝室)の提案もいい。キッチンカウンターに採用されているフィオレストーンは「パークホームズ」を含めた同社のマンションで標準化するとも聞いた。共用部の可変性のあるコミュニティスタジオがいい。

 「CASBEE川崎」の「S」を取得しているのは今回で3棟目だから、これは価値がある。

 単価については、年初に「坪単価は300万円を突破する」という噂が流れたが、もしそんな高値になったら批判しようと思っていた。各社が都心部で高値追求するのは大賛成。まだまだ富裕層のニーズに応えきれていないと思うからだ。

  しかし、今回のような郊外部では極力単価を抑え、取得しやすいものを供給すべきだと思う。坪250~260万円には納得だ。グロスも60㎡以下を4割にして取得しやすいようにしているのも正解だろう。

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コミュニティスタジオ(左)とゲストルーム

◇       ◆      ◇

 RBA野球大会で三井不動産チームの監督も務めた徳川氏に久々にお会いできてうれしかったのだが、思いがけない歓迎も受けた。

 取材が終わり帰ろうとした16時過ぎだった。子どもたちが「虹だ、虹だ」とはしゃいでいた。空を仰ぐと販売事務所の東側の上空にアーチ形の虹がかかっていた。早速、慣れない手つきで携帯に収めた。

 田舎育ちの記者は小さいころ何度も虹を見た。雨上がりの朝や夕方、山間によく虹がかかった。いまの東京の子どもも大人もそっけない「天気雨」と呼ぶが、我々の地方では「狐の嫁入り」と呼んだ。狐のお嫁さんはあの虹の橋を渡るのだろうかと想像したものだ。

 「新川崎」の将来もまた今日見た虹のように輝いてほしい。

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販売事務所の後方に現れた虹

 

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