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2013/10/04(金) 13:08

マンションの間取りは「自分で作る」時代へ

投稿者:  牧田司

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「ツクリエ」を採用した伊藤忠都市開発「多摩平」が好調

 〝ライフスタイル・ディベロッパー〟を掲げるアート・ボックスの森肇社長から定期的に送られるメールマガジン「TRENDS EYE」の最新号のテーマは「マドリスト」だった。

 メールマガジンでは、「住宅の間取りを見て楽しむ人を“マドリスト”、実際に間取りを作っちゃう人を“マドラー”と呼ぶそうで、そんな間取り図大好きな人間が増えている。最近、実在する変な間取り図ばかりを紹介するブログやサイト、書籍までもが存在し、“間取り図オフ会”まで開催されているという。今やすっかり間取りは面白カテゴリーになっているのだ。現在13万人ものメンバーがいるmixiの『「間取り図大好き!』コミュニティでは、“マドリスト”たちが集まって、間取りを楽しむ鑑賞イベントなどが開かれている。実在しうるヘンな間取り図を収集して、その生活を想像・批判したり、感動したりするのが主な活動だが、回を重ねる毎に参加人数が増えて、『間取り図大好き!』(扶桑社)として書籍化もされた」とある。

 このようなブームの観を呈している状況について森社長は、「今や中古物件のリフォームが主流なのだ。限られた国土で、特に都心の矮小住宅事情の中で、中古物件の間取りを工夫して少しでも広く暮らしたいという気持ちから、間取り図がもはや癒しの存在になっているようだ。一方で、やっと日本もマンション業者の建築条件のお仕着せではなく、自らの住宅ライフスタイルをユーザーから創り上げようとする時代になったとも言える」と指摘する。

◇       ◆      ◇

 記者も仕事柄、マンションや戸建ての間取りはよくチェックする。紹介されているような一般の方が書かれた間取りに関する書籍は手に取るだけで買ったことはないが、一般の方が住宅の間取りに関心を持たれるのは結構なことだとおもう。生活者の視点こそが、森社長がいうデベロッパーの〝お仕着せ〟の間取りを変える力になると思う。

 しかし、最近のデベロッパーは〝お仕着せ〟のプランばかりを提供しているわけではない。いい例が、最近分譲された伊藤忠都市開発「クレヴィア豊田多摩平の森RESIDENS」だ。「多摩平」は、中央線豊田駅から徒歩5分の全440戸の大規模マンションで、先に分譲された1期231戸も好調な売れ行きを見せている。

 このマンションでは、〝作る+家〟という発想から生まれた「TSUKURIE(ツクリエ)」が採用されている。現地のマンションギャラリーに備え付けられているパソコンで質問に答えるだけで、ライフスタイルにあったタイプを選別し、提案してくれるものだ。居室の位置や収納、仕様・カラーリングも自由自在だ。最大で500通り以上のプラン選択が可能だ。何よりも操作が簡単なのがよく、来場者の反応もいいと聞いた。

 もともと同社は間取り・収納についてはかなり以前からユニークな提案を行ってきた。最先端のデベロッパーといえるかもしれない。それが今回の新発想に結び付いた。 

 同じようなシステムを採用しているところも増えている。野村不動産のオーダーメイドマンションもそうだし、住友不動産のカスタムオーダーマンション、三菱地所レジデンスの「スマートセレクト構想」「スタイルハウス」などがそうだ。最近では、大成有楽不動産が「新中野」でライフスタイルに応じて間取りプランが変更できるマンションを分譲した。他のデベロッパーも間取り変更、カラーセレクトなどを用意し、ユーザーの希望に柔軟に対応している。一昨日見た三井不動産レジデンシャル「パークタワー新川崎」の間取りは実に動線がよくできていた。

 「マドリスト」のように見て楽しむ時代から、マンション業界は「自分で間取りを作る」時代に変わりつつある。

 参考までに。間取りに関する書籍では故・宮脇檀氏のエッセーが新潮文庫から発行されているし、書名は忘れたが、小説に出てくる家の間取りを再現したものも面白く読んだ。

 

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