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2013/10/22(火) 17:16

国交省「省CO2先導事業」に採択 ポラス「大宮ヴィジョンシティ みはしの杜」

投稿者:  牧田司

01街並メイン.jpg
「大宮ヴィジョンシティみはしの杜」

調整区域であるために実現した全戸150㎡以上の敷地

 ポラスグループのボラスタウン開発と中央住宅が11月8日から分譲を開始する分譲戸建て「大宮ヴィジョンシティみはしの杜」を見学した。国交省の「平成25年度第1回住宅・建築物省CO2先導事業」に採択された物件で、全戸が敷地面積150㎡以上のレベルの高い住宅だ。

 物件は、JR大宮駅からバス10分徒歩3分、さいたま市大宮区三橋に位置する全125区画の団地。土地面積は150.24~175.50㎡、建物面積は111.23~117.79㎡、価格は未定だが3,000万円台の後半から5,000万円ぐらいになる模様。建物は木造軸組工法2階建て。第1期は24戸で、来年5月にかけて順次販売する予定。現在、200組以上の事前反響がある。

 全体で4件採択された先導事業の中で同社のプロジェクトは、CO2削減の取り組みは当然ながら、ライフスタイルに応える幅広い選択肢を提案した街づくり、1区画150㎡以上という区画割、エネルギーの「見える化」を一歩進めて顧客の自発的な活動によりコミュニケーションツールとして機能するよう提案しているのが評価された。流体解析により近くの川や公園の冷気を取り込むパッシブランドデザイン、環境やエコに関する体験学習プログラムも用意されている。

 同社オリジナルの「ヴィジョンHEMS」を開発し、単なるエネルギーの「見える化」だけでなく、クラウド型としているために定期メンテナンス案内、植栽管理サポート、イベントの発信など居住者間のコミュニティ形成に役立つよう仕掛けられているのが特徴。18区画のゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を設置するほか、全戸に家庭菜園スペース「ポタジェ」も設けられる。

 モデルハウスは「可変の家」「素足の家」「フレンチハウス」の3タイプで、それぞれが125戸に計画的に配置される。

 購入者がSo-netの〝世界最速〟下り最大2Gbpsの超高速通信「NURO(ニューロ)光」を契約すると、「ヴィジョンHEMS」へアクセスが便利なタブレット端末がプレゼントされる。

     ◇      ◆     ◇

 同社の分譲戸建てはたくさん見学しているので詳細は省くが、一言でいえばかゆいところに手が届く気配りがなされている。1階の天井高2700ミリ、階段ステップ16段、電動シャッター、暖房機能付き洗面室、脱衣棚、食洗機などが標準装備。オープン外構のランドデザインもいい。この価格帯からして極めてレベルが高い。

 モデルハウスは「フレンチハウス」のデザインがいい。女性が企画したもので、アーチ型の下がり壁を採用し、さりげなくニッチを設けたり、アンティーク家具をアクセントに置いたりした見せ方が巧みだ。「可変の家」はステンレスカウンターのシステムキッチンが素晴らしい。「素足の家」はやや懲りすぎ。杉板壁は凹凸などつけないで、自然のままがいいと思う。

フレンチハウス.jpg   可変の家.jpg  
左から「フレンチハウス」「可変の家」

素足の家.jpg

「素足の家」

 ◇      ◆     ◇

 同社の団地の敷地は、登記簿上の地目は「宅地」で、用途地域は「市街化調整区域」だ。この一角だけが調整区域で、周囲はマンションや戸建てが建つ市街化区域だ。

 調整区域は原則として住宅は不可の地域のことだ。どうして、同社の分譲戸建てが建築可能になったのか。長くなってしまうが、「調整区域の開発」について勉強する意味もあるので少し紹介する。

 今回の開発が許可されたのは、都市計画法34条14号の規定によるものだ。同項には「都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為」となっている。また、同法11号には、「市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であっておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち…」とある。これは2001年に廃止された同法43条の「既存宅地」制度に似た条項で、「都道府県の条例で定めるもの」となっている。

 ところが、さいたま市にはそのエリアを指定する条例がないために、条例が必要でない14号を適用した。長期にわたって宅地として利用されてきたのが開発許可となった大きな理由の一つで、1区画当たり最低面積が150㎡以上となっているのも市の調整区域での宅地開発基準に基づくものだ。

 かつて埼玉県では同法34条1号を利用した花屋、八百屋、雑貨屋などの「店舗」が年間で数百戸も〝分譲〟されたことがあるが、最近は規制が厳しくなりそのような店舗は激減している。例外的に「コンビニ」の建設が許可されるケースは増えているようだ。

 調整区域開発の参考になるプロジェクトだ。

 参考までにある県の「34条1号店舗」として許可されるものを紹介する。織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、書籍・文具などの小売業、一般飲食店(料亭を除く)、洗濯・理容・美容・浴場業(あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所)など。風俗営業は不可。管理上必要なものは休憩室、湯沸室、更衣室、シャワー室、便所などで、その規模は20平方メートル以下-となっている。店舗併用住宅は、既存住宅を改造する場合は許可される場合もある。

IMG_8903.jpg  IMG_8901.jpg
オープン外構                 洗面室の脱衣棚とタオル掛け

 

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