RBA OFFICIAL
 
2013/10/25(金) 10:56

プレ協「エコアクション2020」12年度実績で考えたこと

投稿者:  牧田司

「木材の管理体制」はなぜ重要か「緑化配慮」は進んでいるか

 プレハブ建築協会は10月24日、環境行動計画「エコアクション2020」の2012年度の実績について報告した。

 報告では、太陽光発電システムや家庭用燃料電池の普及が進んだこと、国の補助金制度、固定買取価格制度などの支援策があったことから、2012年度に供給した戸建ての居住段階でのCO2排出量は2010年度比14.2%減の2,004㎏-CO2/戸となり、太陽光発電システム設置戸建ての供給率は61.7%(前年比3.3ポイント増)となっており、かなり成果をあげていることが分かった。

 また、既存住宅の居住段階でのCO2排出量削減では、太陽光発電システム設置工事件数は12,776件(前年比18.4%増)となり、生産段階でのCO2排出量は供給床面積当たり30.8㎏/㎡(同1.5%減)となった。

 「エコアクション2020」は、「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けて数値目標を掲げて取り組んでいるもので、標準的な戸建てでは2020年までにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)実現を目指すほか、生産・施工におけるCO2排出量を2010年比で10%削減などを掲げている。

 調査対象となっているのは会員会社の10社で、10社の戸建て供給戸数は67,119戸、低層集合住宅66,393戸。

◇    ◆   ◇

 ニュースリリースには「自然共生社会の構築」と題して、「会員各社は、木材調達方針(ガイドライン)を策定し、サプライチェーンの協力を得ながら、トレーサビリティや、合法性の確認や持続可能性の評価を行う体制を確立する等、持続可能な木材の利用を推進している。管理体制を規定している会員会社は6社である」としている。

 記者は、この「管理体制を規定しているのは6社」に興味を持った。合法性(コンプライアンス)は当然のことだし、食材ほどではないにしろ「トレーサビリティ(追跡可能性)」が重要なのは論を待たないと思った。問題が生じた時、コンプライアンス、アカウンタビリティ、トレーサビリティは3点セットではないのか。家庭の主婦は肉も野菜も「トレーサビリティ」(産地・生産者表示)が欠けていたらまず買わない。

 調査対象となっている10社は、わが国、つまり世界を代表する大手(系)ハウスメーカーが過半を占めている。にもかかわらず木材の管理体制を規定していないところが4社もあるのが信じられなかった。管理体制など確立しなくても、木材は石油化学製品などで覆い隠されるから問題がないのだろうか。輸入材だろうが国産材だろうが品質に差はないのだろうかと考えてしまった。昔の大工さんは生産地や樹種はもちろん部位によって使い分けたというではないか。

 協会の関係者に聞いたら管理体制はもちろん重要で「今年度中にはもう1社加わって7社になる予定」とのことだった。「管理体制とは何ぞや」をきちんと説明(アカウンタビリティ)しないといけないのではないか。

◇       ◆     ◇

 もう一つは、同じ「自然共生社会の構築」の項目で、「地域の生態系の保全に配慮した住宅地の推進」についてだ。リリースには、2012年度に会員各社が分譲した建売住宅4,654戸(前年比780戸増)のうち「CASBEE戸建新築」の基準に基づいて緑化に配慮して分譲した建売住宅が1,935戸(前年比2921戸)、供給率にして前年とほぼ同じ41.6%であることが報告された。

 この比率が高いのか低いのかの判断材料はないが、各社の大都市圏と地方圏の供給比率から類推して、地方圏では緑化配慮住宅はかなり進んでいるが、大都市圏ではまだまだ遅れていることが容易に想像できる。緑化の推進は大都市圏こそ重要だ。来年は大都市圏と地方圏の圏域別の取り組み状況を明らかにして欲しい。

 消費者が木材の管理体制の有無に関心を持ち、緑化配慮住宅に価値を見いだすような市場を形成するためにもプレ協は先頭に立って啓蒙すべきだろう。森林・林業の再生は待ったなしではないか。

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン