ノーゲームを宣告する審判
本日6月22日、神宮外苑軟式野球場で行なわれる予定だった日曜ブロックの開幕ゲーム、清水建設-ポラス、安田不動産-鹿島建設、日本駐車場開発-コスモスイニシアは試合開始直後に雨天のためノーゲームとなった。それ以降の試合も全て中止となった。コスモスイニシアは選手が集まらず不戦敗になるはずだったが、雨天に救われた。
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清水建設の2番茂野、ポラスの折笠投手がRBA関係者はもちろんベンチの期待に応える、土砂降りをもろともしないサービス精神旺盛の感動的なベースランニングを敢行、やんやの喝采を浴びた。
試合は清水が先行。1死後、今季から広島営業所に異動になった2番茂野は四球を選び、2盗を決め暴投で3進。2死後、4番小寺のとき、またも暴投で猛然と本塁を突き、相手の折笠投手とそれこそ折れ重なるような状態で生還。
歓喜の先制点を挙げ、ベンチで吼えた。ところがだ。全身ずぶぬれ泥だらけになった折笠が続投不能と判断したか、自らがこれ以上濡れて風邪でも引いたら命取りとなると判断したか審判はタイムをかけ、しばらくして清水には無情の、ポラスには幸運のノーゲームを宣告。
折笠(左)の暴投で生還した茂野(右) 茂野
清水ベンチ(左)とポラスベンチ
折笠
気の毒なのは茂野と折笠。せっかくわざわざ広島から遠征してきて、劇走につぐ劇走で先制打をあげたのにその直後にリーゲームとはあまりにもかわいそうではないか。折笠も投手難のチームを救うべき初登板。身長178センチ、体重98キロ。投手というよりは相撲取りの格好で31歳になりながらいいところを見せようとしたのに、雨のせいでコントロールが定まらず、挙句の果てが自らの暴投で失点した。自尊心はズタズタだ。
しかし、2人はこれしきの逆境にはくじけない。むしろ逆だ。逆境をプラスに転じる高い志を持っているからこそ、厳しい時代を生き残れるのだ。ノーゲームをこれ幸いと、何をしゃべったかは分からないが、「茂野、走ります」とでも言ったのかホームベース前で高らかに宣言したあと、まずは茂野が走り出した。1塁を全速力で走り抜け、足をとられながらも2塁を回り、3塁を回り、安倍さんの積極的平和主義を先取りする初年兵のように、あるいは柳川鍋になるのを嫌がり泥田に逃げ込むドジョウのように渾身の力を込めて本塁に猛然と突っ込んだ。
以上、茂野(茂野は昨年結婚したはずだ。奥さん、悪いのはそそのかしたナインであり、記者です。ちゃんと洗濯してやってください)
負けられないのは折笠だ。すごすごと尻尾を巻いて逃げる犬でもブタでもない。よせばいいのに茂野の軌跡、足跡をたどるようにどたどたと走り出し、最後はベッドスライディングというよりも、だるまが転がるようにして出っ張った腹からホームに突入した。
2人の劇走に両チームのナインはもちろん、子育てに忙しいスズメがベンチの巣から〝よくやった〟とエールを送っていた。
以上、折笠(折笠は31歳。独身か既婚かは聞かなかったが、だれが洗濯するのだろう)
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同時に始まった安田不動産-鹿島建設の試合でも同じような選手がいたようだ。余興と呼ぶなかれ。ばか者と蔑むなかれ。記者はこうした意気に感じる選手に拍手喝采する。もやしのようなサラリーマンでは絶対にできないだろう。
次は、相手がいないのにベンチで長々と雨宿りしていた日駐のナインを紹介する。うそか本当かはしらないが、みんなべらべらとしゃべり、記者の期待に応えてくれた。