「蔵の曳家」体験イベント
ポラスグループは10月2日、越谷市の越ケ谷小学校3年生を対象とした江戸時代末期に建てられた「蔵」の曳家(ひきや)体験イベントを行った。
蔵は約150年前に建てられたという漆喰塗の2階建て延べ床面積約48㎡、重さ約100トン。父母約50人と引率の先生、関係者らが見守る中、子どもたち107人は綱引きの要領で約2m蔵を移動させ、歓声を上げた。
畑佐 柊磨(はたさ とうま)くんはイベント後、「蔵はとても大きいのに、昔の人はこうやって動かしていたんだと思いました。これからも越谷のいいところをいっぱい見つけていきたいと思います」と感想を語った。
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越谷は旧日光街道沿いの宿場町として発展し、蔵などの歴史的建造物が残っているが、所有者の高齢化、建て替え・開発などによって歴史を感じさせる街並みが失われつつある。
住宅開発用として取得した敷地に築150年と言われる蔵が建っていたため、移築・改修して、敷地約100㎡とともに市に寄付する方向で調整を進めている。
当初、コーポラティブ方式での分譲を考えていたが、参加者がなかったために、蔵と親和性のある外観・外構計画による分譲戸建て(4戸)を建設する。来年11月に分譲する予定。
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このプロジェクトは、同社が発表したときにも取材しているので、そちらも参照していただきたい。
子どもたちが3班くらいに分かれて楽しそうに蔵を曳いているのを見て、記者はいつもの歪んだ性格が頭をもたげた。〝100トンもある蔵を子どもの人力で曳けるわけがない〟と考えたのだ。どんぴしゃり。ジャッキで動かしている裏方の職人がいた。その職人もニヤリと笑った。
よせばいいのに、記者は校長先生だけに「実際はジャッキで動かしているんですよ」と耳打ちした。校長先生も知らなかったようだ。どうか、このことを子どもたちには知らせないでいただきたい。
この記事に対して早速、同社広報から注文が付いた。広報は「隠れてジャッキを操作したのではありません。始動を補助するためにジャッキを使ったのであって、子どもたちが動かしたのは事実です」と話している。(これに対して記者は反論しない。人力で動いたかどうかが問題ではなく、子どもたちが昔はこのような大切なものを保管する土で作られた蔵があったことや、人力で動かすこともあったということを学ぶことに意義があるからだ)
なぜ、このひねくれ者の記者の性格を書くのか。先週行われた三菱地所グループの記者懇親会で、同社取締役会長・木村惠司氏は誤報問題で揺れる朝日新聞を引き合いにし「記者のみなさんにお願いがある。インテリジェンスのあるマスコミになってほしい」と語った。
記者はインテリジェンスのかけらもないが、メディア・リテラシーはいつも意識しているつもりだ。みんなが右を向いたら記者は左を向く性格だ。
分譲戸建てはいったいいくらになるかも気になるが、蔵だけでも数千万円の価値がありそうだし、現段階ではなにも書かない。