RBA OFFICIAL
 
2015/05/25(月) 00:00

恐るべし 旭化成ホームズのトリックプレー 打者2人で1点奪取

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3盗を決めた原田(3塁手は平林)

 旭化成ホームズが先取点を挙げた2回表の攻撃。記者は、観客席で三井不動産リアルティの竹井会長などへインタビューしており、先取点を挙げた場面は見ていない。なので、以下は推測でしかないのだが、巧みな旭化成ベンチの采配を振り返ってみた。他チームは旭化成の戦略を知る上で参考になるはずだ。

 この回、先頭の7番原田が四球で出塁。次打者は曲者佐藤。これまでも佐藤は度々進塁打、適時打、チャンスメーカーとして活躍してきた。相手にとっては一番嫌な選手の一人だ。ここで、原田は2盗塁を決めた。もちろんサインだ。

 原田が2盗を決めた後、佐藤は送りバントの構えをした。無死2塁からバントというのはよくある戦法だ。初回の好機を逸し、その裏大ピンチをしのいだ後だけに、ここは何が何でも先取点を奪いたいところだ。

 ところが、ここで信じられない采配を山本監督は揮った。佐藤にバントの構えから、空振りするサインを送ったのだ。そんなことは露知らず、三井リアルの平林3塁手は猛然とダッシュして3盗を阻もうとした。この瞬間、3塁ベースはがら空きになった。原田はその隙を見逃さず、やすやす3盗を決めた。

 さて、この時の三井リアルの守備態勢はどうだったのか。平林が前進するのは当然だが、なぜショートを守っていた松田は3塁カバーに入らなかったのかが解せない。松田は岡山理大付属時代、甲子園に出場している。その時の守備位置はセカンド。進学した駒大ではどこを守っていたのか知らないが、三井リアルではファーストを守っていたのではなかったか。

 どうして松田がショートを守り、本来はショートの名手として名を馳せた早大卒の安田がセカンドを守ったのか。この当たりが不思議だ。安田は初回、走者と重なった不運もあったが平凡なゴロをはじきピンチを招いた。

 素人はセカンドだろうがショートだろうが同じと考える向きは多いだろうが、全然そうではない。記者は西武ファンで、常総出身の外野手大崎のファンでもある。2軍戦を観戦したとき、大崎は「生まれて初めて内野を守った」その試合で失策を犯した。守る選手がいなかったから守ったのか、大崎を内野にコンバートするつもりだったのかは知らないが、プロでも馴れない守備に付くとエラーをする見本だ。そんな例はたくさんある。

 松田も馴れないショートでカバーを忘れたということは十分想像がつく。旭化成のベンチは松田の動きをチェックしていたのは間違いない。北寒寺遊撃手あたりが監督に「松田の守備はぎこちない」などと進言したのではないのか。

 原田を3塁に進めた佐藤はこれまた定石どおり1塁へゴロを打ち、原田を本塁に迎え入れた。ノーヒットでも打者2人で1点を取る野球ができるのが旭化成の強みだ。

 試合後、三井リアル安西監督は「原田は足が速い。一番出してはいけなかった選手」と悔いた。安西監督は原田が俊足であることをどうして知ったのか不思議だが、三井リアルも敵をよく分析していたということか。一方の山本監督は「エヘへへ」とほくそ笑んだ。

 山本監督の笑みを顔面神経痛のように歪ませることができるチームの出現に期待したい。

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1塁ゴロを放ち原田を迎え入れた佐藤

 

 

 

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