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2016/06/02(木) 00:00

試合を左右する監督采配 エイブルの勝因 旭化成の敗因

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エイブルの大応援団

 観戦ガイドでも書いたが、判官びいきの記者はエイブルが勝つ可能性を必死で考えた。1,000人くらいの大応援団を繰り出すことを聞いていたので、惨敗だけはしてほしくないと考えた。しかし、どう分析しても勝つ可能性を見つけることはできず、十中八九は負けるだろうと予想した。王者・旭化成ホームズには走攻守どれをとってもスキがないからだ。

 投手力は斎藤、田口の二枚看板が機能すれば、水曜ブロックでトップクラスだろうが、斎藤は突如崩れる、田口がいうところの「斎藤病」を抱えている。先制を許せば致命傷になり、田口につなげる段階では〝敗戦処理〟の形になっているのではと心配した。

 それでも勝つ可能性が一分でもあるとすれば、それは先頭打者の坂木が出塁し、荒川兄弟が返す展開に持ち込めたときだろうと考えた。決勝トーナメントの坂木の活躍は神がかりだった。逆転の口火を切ったり決勝打を放ったりして獅子奮迅の活躍をした。ほかでは荒川兄弟しか打てる打者を思い浮かべられなかった。海野がデビューしたころはすごい打者だと思ったが、その後、海野は欠場しがちで、記者のベストオーダーから姿を消した。

 結果的には、その通りの「一分」の展開に持ち込み、勝利を手繰り寄せた。これまで不思議に思っていた斎藤と田口の継投は、二人がお互いの力量を認めあい、かつライバルとして戦ってきたからだと試合後の祝勝会で知ることができた。二人は堅い絆で結ばれている。堀内監督はそれを熟知しているからこそ我々からすれば危険極まりない冒険もするのだろうと納得もした。

 堀内監督が二人を信頼しきっており、二人の絆が生半可でないことを証明するシーンがあった。4回の守り。2点差に追い上げられなおも無死満塁のピンチ。田口は「2塁に斎藤がいたからあいつに取らせれば本塁封殺ができる」とナックルボールだったかを投げ、その通りに斎藤は2つの2塁ゴロを処理し本塁捕殺を完成させた。堀内監督はこの時、斎藤を退けず、坂本の代わりに2塁につかせていた。してやったりの表情をしていた。

 とはいえ、今回の優勝はエイブルが敵の強さを知らないという幸運にも恵まれ、多分に旭化成が自滅したために勝利が転がり込んだともいえる。

 旭化成の今野が2つも四球を出し、失策が5つも6つも出るというのはこれまでなかったことだし、4回までに8個の四死球を得てわずか3点しか奪えないというのも信じられない。

 なぜ、旭化成は自滅したか。エイブルの大観衆に飲まれたと考えることもできるかもしれないが、旭化成のナインはプレッシャーに押しつぶされるようなレベルではない。むしろ逆だ。大観衆を前に浮足立ち、あるいは舞い上がるのはエイブルだろうと思っていた。

 そこで結論づけたのが知将・山本監督の不在欠場だった。監督代理を務めた北寒寺は予選・決勝トーナメントで代理を務めたことがあるような気がするが、決勝戦ではない。プロ野球はプレーイングマネージャーとして実績を残した人は少なくないが、北寒寺には相当のプレッシャーがかかり、自分の打撃や守備に専念することができなかったのではないか。

 そう思えてならない場面があった。3回だ。1死1、3塁の守り。記録はショートゴロで打者を1塁で捕殺したが、北寒寺は3塁走者をホームで刺そうと焦ったのかジャッグルした。完全に補球していても微妙な判定になったかもしれないが、名手・北寒寺は自分のミスだと思ったはずだ。

 打撃でも3打席とも凡飛を打ち上げた。かつて今野は「北寒寺も人の子」とミスをかばったことがあるが、あの糸を引くライナーは影を潜めた。北寒寺の不振は松井にも伝染した。松井も2打席凡退。3回の1死満塁では三振を喫した。このとき、あろうことか3塁走者の木下は四球押し出しと勘違いして離塁するボーンヘッドを犯した。3塁コーチは何をしていたのか。

 かなり辛辣なことを書いてきたが、〝北寒寺ファン〟として弁護もしたい。北寒寺が自らの打撃と守備でミスを犯したのは、やはり「北寒寺も人の子」二足のわらじは履けなかったということではないかと思うし、その性格も影響していると思う。

 北寒寺ほど試合に集中する選手はいない。試合途中に声を掛けると怒る。あの三井不動産・志村氏もそうだった。試合中、志村氏にカメラを向けると真顔で怒った。レベルの高い人は違うとこの二人に感じた。

 しかし、これも性格で、今野などはまったく逆だ。試合途中だろうが前だろうが、ぺらぺらとよくしゃべる。試合を解説して見せるし、自らの手の打ちも平気で明かす。例えば「困ったらシュートを投げる」と。

 その点、山本監督はのらりくらり、何を考えているのかさっぱりわからない。「ウフフフ」といつも質問をはぐらかす。今回の敗戦にはかなりショックを受けているようで、近く開幕する大会までにどのような手を打ってくるか。

 監督采配でいえば、もう一つの東京ドーム決戦で見せた住友不販・古賀監督の代打策だ。同点のきっかけをつくったのも逆転打を放ったのも代打だった。しかも双方とも2塁打だった。見事だった。古賀監督も何を考えているのかよくわからないタイプだが、明大硬式野球部出身だから「カン」だけで采配を揮っているわけではないのは確かだろう。

 書きたいことはまだまだあるが、このあたりにしておく。監督諸氏にいいたい。監督が出たり欠場したりしていたらまず勝ち上がれない。監督がいなくても勝てるほどRBAのレベルは低くない。それでよしとするのも勝手だろうが、「仲良しクラブ」では勝てない。

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エイブル堀内監督(左)と住友不販・古賀監督

 

 

 

 

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