〝俺だ!清川だ!満塁弾だ!もう弱小チームと呼ばせないぞ!〟中央ビル管理 清川
中央ビル管理(66⇒73) 9-5 三菱UFJ不動産販売(72⇒73.5)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
三菱UFJ不動産販売 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 5 | ||||
中央ビル管理 | 3 | 0 | 0 | 6 | X | 9 |
(時間切れ)
初戦の戦いぶりからレーティングを66から73に引き上げた中央ビル管理と、やはり72から73.5に上げた三菱UFJ不動産販売の、レベルが低いややもすると〝最弱〟チーム同士の戦いになりかねない、とはいえ力が拮抗し、負ければ予選敗退という後がないがけっぷちに追い込まれた雌雄を決する戦いは、中央ビル管理が逆転勝ち。清川が起死回生の満塁弾を放った。
前回はカツオ釣りだった三菱UFJの石本監督は、この日はマグロ釣りとかで欠場。代わって采配を揮った佐藤は、初回に平澤の活躍などで3点を挙げると「4番平澤がいい。この調子で勝っていきたい」と早くも勝利者インタビューの予行演習を行ったが、試合後は「あいつのエラーで試合をぶち壊した」と陰険な目つきでトンボを持ってグラウンドを均していた平澤をにらみつけた。
スコアがないため何が起きたのかさっぱりわからないが、2点差をつけられ劣勢の中央ビル管理は4回、いつの間にやらエースの座を占めるに至った1番清川が満塁弾を放ち逆転。ナインの大歓声と清川の雄たけびはベンチの下を潜り抜け、グラウンドを飛び越え、土手を駆け上り、ヒマラヤスギの大木を避け、隣の記者がいる別のグラウンドまで達した。
何が起きたのかよくわからない記者はとにかく真相をつきとめようと、よたよたと駆け戻ったとき、清川は「俺だ!俺だ」とにぎりこぶしを天高くつき上げ、汚泥まみれの酒に焼かれた野村監督とは真逆の、まるで野球少年のような純真無垢そのものの、まっとうな人間らしい喜びを爆発させた。
一方、例えれば、石本が寸前のところで釣り逃したカツオのような、勝てば8年ぶりになるはずだった予選2勝目を目前で落とした三菱UFJの中山は「エラーをなくさない限り決勝Tはない」などと、石本がデビューした20年も昔に聞いた耳にタコができるほど使い古された空疎なコメントを臭い息とともに吐きだした。
すると、ちようどその時、遠くで「86歳のおじいちゃんが行方不明になっています。服装は…心当たりのある方はご連絡ください」と間延びした緊張感がまるでない〝よい子はお家へ帰りましょう〟と一緒の例の無線放送が流れた。〝俺のことじゃないぞ〟と確認する余裕が記者にもまだあった。この絶妙な記者のレーティングを見たか。0.5だぞ。ボケてはきたが、まだ頭は冴えるときもあるんだ。中央ビル管理はレーティングを2つくらい引き上げる。
中央ビル管理 ナイン
〝あのバカな記者の鼻をあかしてやれ〟野村監督(俺の目は節穴じゃないぞ。口だって健全だ)
最初は景気がよかった三菱UFJ
左から佐藤、平澤、中山