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2017/05/24(水) 02:38

周到な作戦か 〝早打ち〟積水ハウス 怪物今野のコントロール狂わす

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優勝した積水ハウス神奈川のナイン

 「生きるか死ぬか、死ぬ気で戦う」-戦前、積水ハウスの若佐主将は記者にこう話した。戦力は互角。この開き直りが勝利を手繰り寄せた。

 打者全員が初球から積極的に打って出た。初回、先頭の上床は三振、2番小松原はセカンドフライ、3番若佐はサードゴロ。今野の球数は7球。2回も先頭の斎藤が初球を打ち投手ゴロ。5番山縣は7球粘ったがサードゴロ、6番崎浜簡単に打ってセンターフライ。今野は9球。3回も7番工藤、8番石田、9番宇野がわずか6球で三者凡退。ここまで今野が投げた球は22球しかない。

 ところが4回、針の穴を通すほどコントロールがいいはずの今野がいきなり上床に四球。上床に盗塁を許し、捕手の悪送球で3進を許した後の小松原にも3球目を左翼に運ばれ失点した。2死後の斎藤にも初球を狙われ長打を食らった。

 5回も先頭の浜崎は2球目を安打し、続く工藤も2球目を打ち敵失を誘い、無死1、2塁。普通なら送りバントか様子をみるのがセオリーだが、石田も初球を右翼前に運び満塁。続く宇野はカウント2-0から左中間を破る2塁打で2者を迎え入れた。決定的な3点を奪われ今野は降板。おそらく回の途中で今野が降板したのは初めてのはずだ。完全にKOされた。

 今野は試合後、「まさか(無死1、2塁の場面で)初球を打ってくるとは…」と話したが、今野のコンピュータを狂わしたのはこの積水の積極的な攻撃に違いない。

 今野のコントロールの良さを逆手に取った積水の戦略が功を奏した。とはいえ、早打ちは今野の術中にはまる危険性もあったはずだ。技が伴わないと取れない戦術だ。打倒旭化成のために周到な準備をした積水の打力を褒めるべきか。

 本人から聞いたわけではないが、今野は肩の調子を試合前から気にしていたようで、あるいは3回が限度だったのかもしれない。死球はあったかもしれないが、今野が先頭打者に簡単に四球を出したことなどなかった。

◇       ◆     ◇

 王者・旭化成ホームズが完敗したことで、水曜ブロックの勢力地図が変わるような気がしてならない。積水は自信を持ったはずだし、旭化成も雪辱を期すはずだ。ここにあと一歩でドームを逃している野村不動産アーバンネットが割って入る3強時代が始まるのではないか。

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KOされ戦況を見つめる旭化成ホームズ今野

 

 

 

 

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