〝絶対勝つぞ〟試合前のリバブルベンチ
伊藤忠ハウジング(85) 1-5 東急リバブル(84.5)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
伊藤忠ハウジング | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | ||
東急リバブル | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 1 | X | 5 |
東急リバブルが毎年のように戦っている〝宿敵〟伊藤忠ハウジングに完勝。坪井が1発を浴びたが7回を2安打8奪三振の力投。打線は下位が大活躍。大槻監督はお父さんが亡くなり欠場。ナインはこれ以上ない弔いの弔花を監督に贈った。伊藤忠ハウジングは完敗。エース渡辺は力投したが、相手の気迫に屈した。神が弔砲1発を放った。
リバブルは2回、1死から7番宮倉が内野安打で出塁、続く濱の2塁打で1点。さらに9番尾形と3番太田の安打でこのかい3点を先取。4回には内野安打を放った尾形を2番近藤が右翼越え2塁打を放ち1点を追加した。6回は宮倉、尾形の連打と敵失でダメ押し。7~9番はチーム9安打のうち6安打、全5得点のうち4得点の活躍。
坪井は6回に一発を浴びたが、7回を2安打8奪三振の力投。
伊藤忠ハウジングは6回、4番神が本塁打を放った1点のみ。拙守も目立った。
○古屋主将 所用で来られなかった監督の指示通り、「みんなのため、チームのため」に個々人が頑張った。チームプレーの勝利。みんなに感謝です
○濱 2回の打席は追い込まれていた場面で、キャプテンからの指示通りに右方向に打って先制につながった。6回の二塁打の時は、甘いのが来たら行こうと狙っていて、フルスイングしました。決勝トーナメントでもチームに貢献できるよう頑張ります
〇大見部長 (大見さん、N社のように野球選手を補強しないんですか)本業でできるのが欲しいだよね(大見さん、記者は故・茂木さんから入社試験の出来を聞いていますよ。野球の選手が仕事できることを大見さんが証明しているじゃありませんか)
●面髙監督 神が久々に(本塁打)打ってくれましたね
●小出主将 強豪の多いAブロックで、力は見せたと思う。Aブロックを引いてしまったのは自分。来年はくじ運の方も頑張る。今秋からみんなで毎週ジムに行き、投手は球速5キロアップを目指します。来年は一回り大きくなります!
リバブル8番濱の2塁打で先制のホームを踏む宮倉
古屋監督代行(左)と坪井
◇ ◆ ◇
試合開始の10時前、グラウンドに着いてすぐ異変に気が付いた。この日一番の注目カード、東急リバブル-伊藤忠ハウジング戦のリバブルベンチに大槻監督の姿がない。記者のレーティングはリバブルが84.5、伊藤忠は85。わずか0.5しかないが、的中率は70%を超える。これまでの戦績からして伊藤忠がやや優勢と見ていた。
負ければ予選敗退の大事な試合に大槻監督が欠場するはずがない。記者はこの26年間、身内の不幸以外ほとんど取材を欠かしたことがない。年間100~150試合を見てきた。
だから言えるのだが、大槻監督が現役-監督時代を通じて欠場したのをほとんど知らない。RBAの歴史で皆勤賞は大槻監督以外一人もいないはずだ。ヘルニアを抱えながらリバブルの強肩捕手として、現役を退いからずっと監督としてチームを率いてきた。
何かあると直感した。チーム関係者が「監督のお父さんが亡くなりまして…」と欠場の理由を明かした。ナインには知らされていたのだろう。緊張感が漂っていた。無駄口をたたく選手はいなかった。
意気込みは伝わってきた。しかし、闘志が空回りする試合を何度も見てきた。ましてや相手は相性が悪い伊藤忠だ。見るのがつらくて記者は他の試合を取材することにした。
雌雄が決するころに恐る恐るまた出向いた。何と、坪井投手が好投したのか完勝ペースだった。下位打線が活躍したようだ。監督の悲しみをナインは力に変えた。
この1勝は大槻監督の悲しみを倍加させると同時に、何物にも代えがたい弔いの弔花になったはずだ。
伊藤忠ナインはそんな事情を知る由もなかったが、試合が始まって間もなく、面高監督は「相手は普段と雰囲気が違う」とその集中力を読み取っていた。試合は完敗。エース渡辺は調子が悪そうには見えなかったが、相手の気迫に負けたのだろう。神が弔砲を放った。
伊藤忠ハウジング渡辺
◇ ◆ ◇
この記事を書くかどうか迷った。悲しい記事は書きたくない。その迷いを断ち切ってくれたのが松本大樹選手だった。名前をもじって〝未完の大器〟と期待されなが、ついにエースにはなれなかった(大器晩成はあるか)。最近は出る幕などほとんどなくなった。それでもベンチを温めてきた。
その松本選手が「書いていいんじゃないですか。大槻さんへお悔やみになるはずだから」と話した。大槻監督が51歳で、松本選手は48歳。
本塁打を放った神
伊藤忠ハウジングナイン