〝川崎よ、俺がパナのオコエだ〟
〝オコエ、オコエ、オコエ…、オコエのお声が聞きたいよ~〟-〝オコエ〟ことパナホームの藤代が無事生還した。
当欄9月16日の記事で紹介した、生か死か天国か地獄か、人生最大の賭けに出た藤代のその後の去就が心配されていたが、10月6日行われたRBA抽選会上に元気なオコエが姿を見せた。
やややつれたような印象を受けなくもなかったが、オコエは開口一番、「大丈夫、俺は生きている。帰ってきたぞ。なに? 求婚が失敗? そんなことはない。相手のお父さんの了解はまだ得ていないが、お母さんとは仲良くなれた。長期戦覚悟で頑張る」と、一つの山を乗り越えたことを報告した。
決勝トーナメント初戦は、あの川崎を擁するオープンハウスが相手と決まった。オコエは「俺が帰ってきたからには絶対勝つぞ」と怪気炎。
レーティング差はかなりあり、川崎を攻略するのは容易ではないが、川崎は年々ずる賢くなったのか体力がなくなってきたのか、それとも生来のやさしさなのか、相手が打てないと見ると手を抜く悪癖が露骨になってきた。「手を抜くとストライクが入らない」以前はスローボールなど全然投げられなかったのに、最近は打たせて取るピッチングが身についてきた。
川崎が〝オコエ〟の本職はボクシングということを知ったら、絶対にえげつない変化球など投げない。明大野球部の名誉に傷をつけるような姑息な手を使わない。沽券にかかわる。
そこにオコエとパナホームが付け入るスキがある。死んだふりして甘いストレート狙いに徹すれば活路が見いだせるはずだ。川崎が本気になる前に攻略したい。
相手打線もたいしたことない。「謝敷が出るぞ」とオープンハウスの参加者は脅しをかけたが、謝敷は人畜無害と読んだ。記者は昨年、激太りの謝敷を見ている。中田と共にコンビを組み泣く子も黙らせた大阪桐蔭のプライドをかなぐり捨てて、ひたすら仕事と子育てにいそしんでいるはずだ。
徳山投手よ。だから謝敷とは真っ向勝負だ。絶対禁物なのは、スケベ根性をだしてストレートで三振を奪いに行くような愚を犯してはならないということだ。いくら落ちぶれ果てても謝敷は武士だ。あなたのストレートは半速球にしかならず、ピンポン玉のように外野にはじき返される。全球スローボールを投げてやれ。間違いなく討ち取れる。
謝敷以外にも打てそうなのは何人かいるが、オープンハウスは負け癖が付いている。大穴が飛び出すとすればこの試合だ。