伊藤忠ハウジング上野(「リビオレゾン月島ステーションプレミア」で)
昨年のRBA野球開幕時、面高監督をはじめナインから「凄い捕手が入った」と聞かされた、伊藤忠ハウジングの2年目上野拓馬(24)に日鉄興和不動産「リビオレゾン月島ステーションプレミア」販売事務所で会った。
昨年のチームは散々だった。初戦で上野が2ランを放ったものの、三井不動産リアルティに2-9で惨敗。2回戦は、リスト相手に5回まで12-3と圧勝ムードだったが、その裏10点を奪われ歴史的な逆転サヨナラ負けを喫した。いつも冗談を飛ばし、ナインを鼓舞する面高監督もさすがに堪えたのか、試合後、「オレ(監督を)辞める。杉山に譲る」と辞任を表明し、早々と予選敗退した。
そんなわけで、記者は全然印象に残っておらず、今年も上野がトラバース戦で初先発したものの、コントロールが悪く初回に3失点し敗戦投手となっているので、うだつの上がらない男ではないかと予想していた。
しかし、この日のマンション販売担当としての上野は看板倒れの情けない男ではなかった。以下、上野とのやりとり。( )内は記者。(敬称略)
◇ ◆ ◇
(投手としてのデビュー戦は残念でしたね)
「ダメでした。コントロールが。球に聞いてって感じでした」
(来年も投げるの? )
「いえ、ぼくの大学の後輩で凄い投手が入社するんです。福島の聖光学院から共栄大に進んだ投手。ぼく? 本職は捕手。全国大会でプロ入りを表明した創価大投手から2ランを放ったんです」
(そう、それじゃ来年は大丈夫?渡辺より上? )
「大丈夫です。渡辺さんと2枚看板が揃う。面高さんは決勝トーナメントに勝ち進んだら応援してくれることになっています」
「(模型を紹介しながら)このマンションは2層吹き抜け。前面道路が36m。マンションの後ろは2階建て、3階建ての低層」
(なるほど、坪単価400万円でどうですか)
「まだ決まっていませんが、坪400万円は超えます」
(これから築地で大量のマンションが分譲されます。坪440~500万円くらい。競合はしませんか)
「します。けど、築地なら1LDKしか買えなくとも、ここなら2LDKが買えます」
(じゃ築地には負けない? )
「負けません」
(宅建は? )
「今年、取りました!自己採点で38点。仲間が明後日祝ってくれます」
(えっ、38点も。そりゃ大したもんだ)
「ほら、これ。キッチンの床下収納。マンションに床下収納なんかありますか」
(…以前は珍しくなかったと答えようかと思ったが、大人げないので黙っていた)
(寸法は? )
「(メジャーを持ち出し)60cm×60cmですかね。ビール缶だと7缶×7缶、50缶です」
「ほら、この洗面。ミラー下部はホーローパネルで汚れを落としやすく、鏡も木調の縁付きですから汚れない。それと、これ、見てください。タオル掛けにシュシュやネックレスが掛けられる」
(シュシュって、カタカナでこう書くの? 何、それ? )
「女性が髪を後ろで束ねるもの。ネットで調べて」
(あっ、分かった。うちのかみさんが浴室のドア把手にいつも掛けているやつだ。わたしが入るときに床に落ちるので蹴飛ばすやつ? )
「そうそう、それ。あれって邪魔ですよね」(独身のあなたには分からないはずだが)
「この3.5畳大の小上がり和室が売りなんですよね。ほら、こうやって腰かけるとくつろげる。ややエロチックですが上品、これが受けています。キッチンカウンターもいいですよ。ミストサウナ、居室に物干しホールも付いてます。45㎡で間口も5100ミリです」
(最近、トイレをよく見るようにしていて…これは他社とほとんど同じ。あなたはトイレの掃除なんかしないでしょ)
「いえ、ここの現場のトイレ掃除はわたしが毎日ごしごしやってます」
(えっ、それって強制じゃないですよね)
「そうです。自主的にやってます」
(あなたは偉いね。このマンション大丈夫? )
「もちろん。順調です。『月島』もモデルルームでいろいろ提案しています。いけると思います」
◇ ◆ ◇
久々に元気でかわいくて爽やかな若者と出会えた。生まれて初めて「シュシュ」なるものを知ったし、宅建試験で38点も取り合格するなんて…ひよっとしたら上野は杉山も面高も超える伊藤忠ハウジングを背負って立つ男になるかもしれない。
記者ような爺々がほれ込むのだから、「築地」に半ば決めていた若いお客さんは男女の別なく5人か6人、いやそれ以上か、この「月島」か「勝どき」に寝返るかもしれない。
今年の三菱地所ホーム戦で本塁打を放った上野