旭化成ホームズ 松田(左)と今野
旭化成ホームズ(93)3-2野村不動産ソリューションズ(91⇒89)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 合 計 | |||
旭化成ホームズ | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 3 | ||
野村不動産ソリューションズ | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
野村不動産ソリューションズ岡野
旭化成ホームズが接戦を制した。最終回、代走で出塁した北寒寺が犠飛で決勝点を挙げた。〝怪物〟今野(44)が好継投。野村不動産ソリューションズは先発したエース茂木が初回に負傷降板、急遽登板した岡野は旭化成打線を1安打に抑えたが、及ばなかった。
旭化成ホームズは初回、先頭橋本が四球出塁を足掛かりに三進し、バッテリーエラーの間に本塁を突いて先制。二回に逆転を許し1点を追う五回、この回先頭の7番水久保が四球を選び、盗塁と敵失からから三進した後、続く石川の内野ゴロで同点とした。最終回、5番吉田がチーム唯一の安打を放ち、ここで佐藤監督が「代走北寒寺」。北寒寺は犠飛で決勝のホームを踏んだ。大会中止前の2019年にデビュー登板していた松田が序盤3回を投げ、四回途中から継投した今野が後半を無失点に抑えた。
野村不動産ソリューションズは初回の守りの場面、二死三塁、相手4番の打席で茂木が左脚を負傷。代わって岡野が内野から登板。落ち着いたテンポの良い投球で6回3分の1を被安打1、2失点(自責1)に抑えた。攻めては二回無死、3連続四死球で得た満塁機に8番小西が適時二塁打で逆転。さらに四回、二塁に走者を置いたが、そこで登板した旭化成2番手今野に封じられた。
審判も「いい試合は速い。素晴らしい」「たくさんの試合を見ているが、本当にいい試合」と絶賛した。
○佐藤監督 打者は気持ちよく打ちたい、でも気持ちよく振るだけでは打てないのだと、今日は特に若手に経験になったと思います。ベテランの温存ということではなく、今野と北寒寺がいないと負けるチームではだめです
○松田(日体大時代の全日本代表) 先発が決まってからはジムでのベンチプレスを控え、肩の負担を減らして備えました。今日は四死球を出し、本来の打たせて取る投球ができていない。次の登板機会には無四球無失点、力まないようにします
○今野 松田は直球と変化をまんべんなく投げとても良かった。二回のコントロール、その1イニングだけです(今野が登板し、2者に対した投球を見た。あのスライダーは誰も打てない)
△(次戦の準決で対決する)リスト三上らナイン 今野さんの投球? 見ました。スライダーがキレキレ。でも大丈夫。攻略できる。うちが勝つ(と宣戦布告)
決勝のホームを踏んだ北寒寺を迎えるベンチ
五回、水久保が生還した場面(記者はこの時の攻撃を見ていた。いかにも旭化成らしい攻撃だった。水久保が打席に立つとき、次打者の石川は「役割分かっているだろ」と声を掛けた。水久保は四球で出塁。すかさず盗塁を敢行した。タイミングは微妙だったが、捕球に入った遊撃手が球を後逸=記録は捕手の失策か=する間に水久保は三塁を陥れた。石川は犠打もあるかと思ったが強振し、強烈な一塁ゴロ。一塁手は好捕したが、本塁送球を一瞬ためらう間に水久保が生還した。無安打で盗塁と内野ゴロで得点できるのが旭化成の伝統だ)
今野
「本当によく声を掛け合う最高のチーム」野村不ソリュ
第30回大会で東京ドームでの総合優勝を経験した小林監督とOB吉本氏が「小粒だが本当によく声を掛け合う最高のチーム」と口をそろえる、今季の野村不動産ソリューションズ。その良さが如実に感じられる一戦だった。
初回でエースを欠き、ナインが動揺したのは間違いない。だが代わった岡野が後続を断つと、そこからナインは見事に奮起した。各自が大きな声を出し、元気に、楽しい雰囲気で。岡野が二回を4人で抑えれば皆で笑顔で囲み、その裏で死球を受けた長谷川は一塁へ向かいながら持ち前の明るいキャラクターで笑いを誘う。満塁機で打席に立つ小西にはベンチが温かくも容赦のない声援プレッシャー。小西は一振りごとに苦笑しながらも耐えて二塁打、2者生還で逆転を果たした。チームは大盛り上がり。すると今度は「気を抜くなー」と引き締める声が飛ぶ。守備でも声掛けでしっかり連係。五回に同点、最終回に逆転されても、最後まで明るく元気にプレーした。
試合後のミーティングで、監督と吉本氏が代わる代わる若手に語り掛けた。「大宮に集まって、今日楽しかっただろう?」「これが草野球。草野球を極める面白さがある」「楽しんでやろう。そして会社を盛り上げられたらいい」。痛みをこらえて立った茂木も「傍から見ていて、いいチームだなと思った。応援しています」と、引退をほのめかすような冗談めいた表現で、場を和らげていた。
●小林監督 若いメンバーが入り、総合優勝時からメンバーが大きく変わった。一から集めた中で生きのいい選手たちが入り、声の掛け合いが非常に良くて、守備もいい、来年につながるチーム。雰囲気よく楽しんで、強くなると一番
●OB吉本氏 退社後も野村野球部の活動は続けていて、本当は出たいしいつでも出られる態勢だが、RBAルール上だめなので応援や助言をしている。今日は岡野がこんなに投げられると分かった。草野球らしい、いいピッチャー。相手も驚いたでしょう。今のメンバーは小粒で長打者はいないんですよ、でもみんなで声を掛け合ってつないで守る、雰囲気最高のチームなんです。これで試合が終わるのは残念、流通カップをぜひ開いてほしい。何とかRBAにOB枠もお願いしたいです
●茂木 球が抜けて前へ出たところで足を痛めた。こんなの初めて。岡野がテンポよくストライク先行で投げて、スピードとはまた違う良さで、いいピッチングをしてくれた
二回、逆転に沸く野村ベンチ