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2013/11/28(木) 14:05

三井ホーム 都内初の2×4木造耐火5階建て「銀座」に完成

投稿者:  牧田司

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完成した建物

 三井ホームは11月28日(木)、都内初のツーバイフォー(2×4)工法による木造耐火建築5階建て店舗併用住宅が銀座2丁目で完成したのに伴い、完成現場見学会をおこなった。国交省の「平成24年度木造建築技術先導事業」に採択されたプロジェクトでもある。

 建物は、中央区銀座2丁目に位置するツーバイフォー工法(枠組壁工法)5階建て(1階はRC)耐火建築物。敷地面積は59.69㎡、延床面積は212.05㎡、最高高さは18m。総工費は約1億2,000万円、本体工事費は約8,700万円。補助金額は約2,000万円。

 都心の繁華街のRC造7階建てのビルをRC造1階+木造2~5階に建て替えるもので、建築に当たっては①社独自の中層建築に特化した改良型建て起こし工法を採用②パネル工法を併用して工期を短縮③耐力壁の高強度化のために独自のダイダウンシステムを導入④I型複合梁による耐火構造床を採用⑤湿式外壁による耐火外壁ダブルファイヤーブロック(DFB)ウォールを採用-したのが特徴。

 建物を受注した同社東京東支店支店長・五井尚人氏は、「当初は鉄骨造の8階建てが計画されていたが、エレベータを設置しなければならないこと、柱型が出るため有効面積が確保できないことなどから計画がとん挫していた。当社の技術で階数を5階建てに下げても、昇降機を設置し、居住性能が確保でき、さらに工期の短縮、工事費の圧縮が図れたので実現した。オーナーの方は開業医で、木造にも興味をもたれ、環境や人にやさしい点なども評価された。オーナーの方によるとRC造と比較して2~3割安いとのことだった」と話した。

 建物は1階が喫茶店「グラムール」で、2~3階が賃貸住居、4~5階はオーナーが利用する。

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正面外観

◇        ◆     ◇

 素晴らしいプロジェクトだ。敷地がわずか約60㎡、延床面積が約212㎡という狭小敷地の建築物だが、木造耐火の建築物を広げる意味で意義は大きい。

 見学会では専門的な言葉がたくさんでてきたので説明が難しいが、簡単に言えば、RCでは足場の確保やエレベータの設置義務などにより、狭小敷地では建設が難しいのを、現場で床を組み立て、壁を作り内側からジャッキで建てて上方に組み立てていく作業としては簡単な工法を同社が開発して実現したものだ。

 記者は、森林・林業の再生という視点からも極めて意義のあるプロジェクトだと思っている。外観も内装も鉄筋やコンクリート住宅とそれほど変わらないのは残念だが、構造材と4階と5階の縦枠に北海道産のカラマツが使用されている。

 この種の見学会では必ずRC造とのコストの比較になるが、記者はもちろんこれも大事だが、人にやさしい、環境にやさしい木造の良さを金額に換算したら比較ならないほど木造のほうが優れていると考える。ハウスメーカーは、経済合理性だけでなく木の持つ社会的有用性を粘り強くアピールすることが求められる。コスト論争に巻き込まれない強い心を持ってほしい。

 国もまた木材の利用率を高めるため思い切った規制緩和を進めるべきだ。わが国の気候風土にもっとも適しているのは木と紙と土の住宅ではないのか。日本の美しい文化と技術を伝承しているわが故郷の伊勢神宮を見習ってほしい。専門家でも理解できない複雑な耐火・準防火の基準緩和は待ったなしだ。

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室内(左)と昇降機     

◇        ◆     ◇

 1階の喫茶店も紹介しておく。なかなかおしゃれな店だ。写真のように無垢材、突板、銅版などが多用され、コーヒーカップはマイセン、ヘレンド。ゆったりくつろげる空間がコンセプトだ。松屋、三越、歌舞伎座の帰りに立ち寄る人にお勧めだ。近くには馬券売り場もあるが、馬券を買う人はタバコが吸えないのでどうか。味は保障するが…。

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喫茶店「グラムール」

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