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2013/12/07(土) 15:39

建物の高さ規制は居住性、景観美の視点から見直しを

投稿者:  牧田司

「オーベルグランディオ横浜鶴見」のモデルルームを見学して

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」全体外観

 大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社が12月7日から分譲を開始する横浜市鶴見区の大規模マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(全553戸)もモデルルームを見学した。

 千代田化工建設の本社・研究所跡地を再開発するもので、周辺にある企業や大学と協力して工場見学、スポーツ観戦、さらには子どもからシニアまで幅広い世代交流ができるプログラムが計画されているマンションだ。

 今回のマンションに限ったことではないが、高さが7階建てに制限されていることについて触れたい。

 横浜市では現在、地区計画や市街地環境設計制度などで緩和許可を受けたものを除きほぼ全域に用途地域や容積率によって建物の絶対高さが第1種高度地区から第7種高度地区まで7段階わたって規制されている。第1種が10m、第2種が12m、第3種が15m、第4種から第6種が20m(斜線制限もあり)、第7種が31mだ。

 今回のマンションが建つエリアは順工業地域で、高さ制限は20mなので7階建てになっている。

 この数値でも分かるように、10-15-20と5ないし10m刻みで規制がかけられている。31mというのは100尺(1尺は約30.3cm)で、尺貫法を用いていた時代の名残だ。つまり旧来の尺貫法をmに置き換えただけで、10mも20mも根拠はあいまいだ。

 記者は以前からこの建物の絶対高さ規制には反対してきた。建物は機能とともに美しさも大事だと思う。機能面で言えば、居住性能を考えれば階高は3mぐらい必要だし、最近では3.4mぐらい確保したマンションもある。つまり、高さ規制は3~3.3m刻みで行なうべきだし、居住性能の高いものについては、日影規制もあるだろうが、さらに高さ規制を緩和すべきだと思う。

 したがってこの20m規制は住宅のレベルを押し下げるものとして機能する。さらに言えば、戸数を抑制することから地価を押し下げるとともに、その逆に規制内で最大の利益を追求するならば分譲価格を絶えず押し上げる要因としても働く。

 美しさはどうか。建物のスカイラインが一定なのは美しいともいえるし、そうでもないといえる。難しい問題だ。街並みから突出したスカイツリーは本当に美しいのか、山頂に突き出た大仏像は美しいか。近くで見るのと遠くから眺めるのとではまた違ってくる。建物の高さと景観美は重要な要素ではあるが、絶対的な相関関係はないと思う。

 今回のマンションで言えば、高さ規制を守り、容積率をこなすため単調な板状の外壁が建ち並ぶことになる。それよりも、高さ規制を緩和して、公開空地、緑地を十分確保したほうが街並みとしては美しくなると確信する。

 建築物の高さ規制は居住性能と街並み景観の視点からもう一度見直すべきだと思う。

大成有楽不動産他「オーベルグランディオ横浜鶴見」販売開始へ(2013/12/5)

絶対高さ制限の背景にある100尺規制とは(2008/6/10)

 

 

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