モリモトの「ディアナコート本郷弓町」を見学した。高さ規制が46mのエリアで、通常なら15階建てが可能だが、同社は居住性を高めるため13階建てに抑え、各住居の居室の天井高を2,700ミリ確保した。モリモトのマンションが売れるのはこうした商品企画だからだ。あっぱれ!モリモト
物件は、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線本郷三丁目駅から徒歩4分、文京区本郷2丁目に位置する13階建て全42戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は43.05~99.43㎡、価格は未定だが坪単価は400万円前後になる模様。竣工予定は平成27年11月下旬。設計・監理は日本エーコン一級建築士事務所。デザイン監修はアーキサイトメビウス。施工はイチケン。分譲は6月下旬。
現地は、旧町名では「弓町」と表示されていた一角にあり、弓町では過去10年間で10物件が供給されている。うち9物件は三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産、野村不動産の大手デベロッパーの物件だ。春日通りから一歩入ったところで、隣は区立本郷台中学校。
建物は13階建て。内廊下方式で、1フロア2~4戸の全住戸角部屋タイプ。リビング・ダイニング、居室の天井高を2,700ミリ確保(水回り部分は2,300ミリ)。またダブルアウトフレーム逆梁工法を採用することで、リビング側も妻側も梁型を住戸の外に出す工夫も行っている。プランセレクトから設計変更まで全戸オーダーメイド対応する。
同社プロジェクトマネージャー・小檜山晃氏は、「反響は1カ月で約900件。とてつもない数字」と話していた。
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記者はこれまで何度も高さ規制は取っ払うか条件を緩和すべきと書いてきた。今回、同社が15階建てにできるところを13階建てになぜ抑えたのかその理由は知らないが、居住性を高めるための決断だったら拍手喝さいを送りたい。天井の高さが通常の2,500ミリと2,700ミリとではどれほど空間的な広がりが異なってくるかについては言うまでもないことだ。現在の建基法の高さ規制は、居住性や資産性を押し下げる役割しか果たしていないと思う。
デザインも秀逸だ。建物のデザイン監修はいつものアーキサイトメビウス・今井敦氏だが、インテリアデザインはリエゾン・鬼倉めぐみ氏。同社のマンションでは初めてだという。床や建具はチーク材の突板。鬼倉氏は、来週見学会がある三井不動産レジデンシャルの「千代田富士見」でもインテリアデザインを担当している。
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マンションギャラリーの設えも最高だ。同社のギャラリーはこれまで100近く見ているはずだが、おそらく今回がもっとも仕様レベルが高いはずだ。ビルの1フロアを借りているもので、接客スペースは100坪くらいあったのではないか。エントランスを入ると、壁面は天然大理石で張り巡らされ、床はくるぶしまで埋まりそうな限りなく100%ウールに近いジュータンが敷き詰められていた。
大手デベロッパーの大型物件では、完成後のマンションを再現した天然石やら天然木をふんだんに用いたギャラリーは珍しくもないが、分譲戸数が40戸にも満たない物件で、これほど豪華なものは記憶にない。
これまで「弓町」で供給された10物件のうち9物件が大手4社だ。記者は同社だけは大手と互角かそれ以上に戦えるとみているが、今回も圧倒的な人気になるか。坪単価400万円前後は納得だ。坪単価だけなら、4年前に野村不動産が分譲して圧倒的な人気になった「プラウドタワー本郷東大前」の360万円をはるかにしのぐ。
野村の物件は「赤門」の隣だ。記者は当時、「東大を睥睨する」と見出しに付けたが、野村は東大の学長に頭を下げたと聞いている。モリモトは、野村のマンションより〝頭が高い〟と叩かれないかというのが心配といえば心配だ。もしそうなったら〝もっとやれ〟と記者は同社の尻を叩いてやる。
当欄で紹介した同社の「川崎タワー」(159戸)が完売し、「小石川竹早」(75)も残り2戸。絶好調のようだ。