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2014/09/16(火) 00:00

イヌイ倉庫「月島荘」の大いなる挑戦 秋まつりで夢を語る若者

投稿者:  牧田司

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約50人が参加した「ショートスピーチ」

 イヌイ倉庫は9月15日、乾康之・同社社長も参加して中央区月島三丁目のシェア型企業寮「月島荘」の秋まつりを行った。乾社長などのショートスピーチ、パネルディスカッション、「月島荘ごはん」などのイベントが行われた。全644室のうち26社二百十数名が入居済み。入居者の約7割が20歳代で、男女の比率は7:3。

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たこ焼きをつくる居住者

◇       ◆     ◇

 「月島荘」がどのようなシェア型企業寮であるかは様々なメディアが取り上げているし、記者も昨年の9月に竣工した際に見学し記事も書いているのでここでは詳細を省くが、乾社長の損得を抜きにした大いなる挑戦の一端を垣間見ることができた…これは正確ではない。乾社長はこのシェア型企業寮構想の実現まで9年間もかけたというのだから、用意周到、考えに考え抜いたに違いない。儲けるためだけなら他の選択肢もあったはずだが、単に住宅を提供するだけでなく人を育て、地域に貢献・還元する価値を十分計算に入れているはずだ。

 その用意周到にして大胆な計画は、まず、常識破りの取材対応に如実に表れている。マンションやビルの完成見学会はこれまでもたくさん経験してきたが、入居者から声を聴いたり写真を撮ったりすることはほとんど許されなかった。個人情報保護法が施行されてから異常、過剰といえるほど当事者はナーバスになっている。

 今回も入居者からたいした声は聴けないだろうと思っていたのだが、そうではなかった。ほとんどフリーだった。規制があったのは入居する企業名の公表を避けるということだけで、居住者インタビューは本人の了解さえ得られれば写真を撮ったり名前を公表したりすることも許された。施設内の写真撮影ももちろんOKだった。

 これには驚いた。なによりも自由なのがいい。自由だからこそ規律も規範も生まれてくるし人材も育つ。

 記者は居住者がつくった200円のたこ焼きと500円の「コロッケ、餃子の皮のピザ、サングリア」を頼み、居住者とビールを飲みながらフランクに話した。インタビューを拒否された人は一人もいなかった。3時間は瞬く間に過ぎた。

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「月島荘ごはん」コーナー

 居住者の一人で、世界中の人権侵害を監視し告発する人権NGOで働く女性(30)の話には胸を打たれた。

 この女性は高校のとき父親の勤務の関係で渡米。「渡米するとき日本は好きではなかった。みんな右向け右の日本人気質がいやだった。国連で仕事が出来ればと思っていた。しかし、外から眺めた日本の文化は素晴らしいと考えるようになった。大学は自分の意志で米国を選んだ。日本も世界もハッピーにしたいと」と夢を語った。

 やはり居住者で世界経済フォーラム(ダボス会議)など世界を舞台に活躍している男性も「世界で生起している出来事は他人事じゃない」と語ったが、これからの時代は国際的な感覚の持ち主が求められる。「月島荘」がそのような人材を輩出してくれるのではないかと思うと嬉しくなった。

 取材を終え、帰ろうと喫煙室でタバコを吸いながら話を聞いた3人組がまた素晴らしい。「イヌイさんがハードを造った。ソフトをつくるのは俺たちだ」と話した。

 「月島荘ごはん」の男性スタッフは「料理は何でもできる。完璧に主夫がこなせる。あとは相手だけ」と話したが、これもまたいい。ジェンダーフリーを実践しようという心構えが好きになった。

 普通の賃貸マンションだったら入居者同士の関係は希薄どころかコミュニティは絶対に生まれない。若い人たちがお互い刺激し合い、夢を語れる場があるというのは素晴らしいではないか。

 〝若者、ばか者、よそ者〟が街をつくり、世の中を動かす原動力になることをひしひしと感じた。

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居住者から寄贈された書籍

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月島荘の暮らしを紹介するMovieを見入る参加者

イヌイ倉庫 「企業寮をシェアする」新発想の「月島荘」が竣工(2013/9/29)

 

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