フージャースコーポレーションが行った分譲マンション「デュオヒルズ府中多摩川」の見学会記事は先に書いたが、今度は子会社フージャースアベニューが分譲中の戸建て「デュオアベニュー八王子グランドスクエア」を紹介する。
物件は、JR中央本線・横浜線・八高線八王子駅から徒歩11分、京王線京王八王子駅から徒歩12分、八王子市子安町1丁目に位置する全52区画(このほか分譲済みの10区画とあわせ62区画の開発)。近く分譲する第1期2次(7戸)の予定価格は4,400万円台~4,800万円台、土地面積は125.10~132.75㎡、建物面積は96.26~105.37㎡。施工・設計・監理は津田産業、エステーホーム。7月19日から販売を開始しており、これまでに25戸供給したうち22戸が契約済み。全体竣工予定は来年の5月。野村不動産のマンション「オハナ八王子オークコート」に隣接している。
同社の戸建てブランド〝デュオアベニュー〟については「国立」と「成城」を取材し記事にしているのでそちらも参照していただきたい。記者はデザインなど商品企画を一新したことで、同社の戸建ては劇的に変わり、それがユーザーにも支持されていることを書いた。「国立」と「成城」も瞬く間に売れたし、今回の「八王子」も間違いなく売れると確信した。
そのデザイン。今回も施工は津田産業とエステーホームだ。両社とも三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て〝ファインコート〟シリーズを多く施工している会社だ。フージャースも「ファインコートのいいところを学ぼう」とデザインを一新した。
今回の物件で面白いと思ったのは、豊かな植栽計画もそうだが、2階のバルコニーだ。南側の日当たりのいい中央部に設置しているもので、日照を確保しつつ独立性も保ったインナーバルコニーのようなのが特徴だ。これが人気になっているとのことだった。
もう一つ面白いことも聞いた。物件はどこだったか聞き忘れたが、これから供給する物件には「プラウドシーズンの南欧風」を採用するのだという。
価格最優先のいわゆるパワービルダーの不振が伝えられる中、デベロッパーの戸建て市場は三井不動産レジデンシャルの独走を阻もうと野村不動産が急追し、他のデベロッパーも供給を増やしつつある。フージャースコーポレーションは年間200戸が目標というから、三井と野村の2強にはかなわないが、他となら互角以上に戦えると思う。〝ファインコート〟〝プラウドシーズン〟のいいとこ取りを狙う同社の戦略は正解だろう。
さらにもう一つ。同社は最近地方での再開発事業を積極的に取り組んでいるが、記者は高齢者向けマンションの分譲に注目している。いまつくばEX沿線で分譲している物件に加え、今度は「柏の葉キャンパス」でも分譲するという。三井不動産レジデンシャルと競合しても勝てない。「高齢者向け」なら地の利もあるし、これは面白い。
なおももう一つ。同社の事業ポートフォリオについて。同社の2014年3月期決算は72.5%が首都圏マンション事業だったように、これまではほとんどがマンション分譲・販売だった。これを2017年度には市場環境に柔軟に対応するため単品事業のリスクを分散させ、マンション20%、地方・再開発20%、シニア20%、戸建て20%にしようというのだ。マンションは大手の寡占化が間違いなく進む。大手のいいところを取り入れつつ競争を回避する同社の戦略に注目したい。
野村不動産「オハナ八王子オークコート」 上々のスタート(2014/6/2)