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2014/11/27(木) 00:00

主役は参加者 マンションコミュニティを考える 三井レジのシンポに340名

投稿者:  牧田司

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「Mirai Mansion Meeting」(COREDO室町 日本橋三井ホール)

 昨日11月26日、マンションの管理・コミュニティに関する極めて興味深い、示唆に富んだ催しが2つ行われた。一つは、マンション管理業協会(管理協)が主催した「マンション管理業の実態に関する調査」結果報告会で、もう一つは三井不動産レジデンシャルなどが主催した「コミュニティ」を切り口にマンションの未来像を語るシンポジウム「Mirai Mansion Meeting」だ。

 アプローチの方法は異なっているが、前者のパネルディスカッションでコメンテーターを務めた明海大学不動産学部教授・齋藤広子氏は「感動しました」「ワクワクしました」と何度も繰り返した。齊藤氏と申し合わせたわけではないだろうが、三井レジのイベントのテーマの一つは「私たちのワクワクするマンション」を探ることだった。記者もつられてワクワクし感動した。ぼんやりした未来像がくっきりと浮かび上がった。歳のせいか涙腺も緩んできているが、涙が出るほどうれしかった。是非、二つの記事を合わせ読んでいただきたい。

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左から岩田氏、藤林氏、藤村氏

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各テーブルに置かれていた謎のボックス

◇       ◆     ◇ 

 まずは三井レジのシンポジウムから。会場となった定員300名のCOREDO室町1の日本橋三井ホールには約340名の参加者で溢れかえっていた。圧倒的に多かったのは20~30歳代の若い人だった。

 シンポジウムは3部構成で、第1部では藤村龍至建築設計事務所代表・藤村龍至氏、同社・藤林清隆社長、三井不動産レジデンシャルサービス・岩田龍郎社長が、三井不動産グループが掲げる〝経年優化〟の原点である「サンシティ」と、3.11後のコミュニティを重視した「パークコート東雲」などを紹介しながら、「家族、入居者、地域の3つのコミュニティへの期待が高まっていることに対して、暮らしソフトをどう埋め込んでいくかが課題」(藤林氏)「マンションが変われば地域、日本が変わる」(岩田氏)などの意見が出された。

 第2部では、三井不動産・NPO日本橋フレンド代表・川路武氏がモデレーターとなり、enaAMICE代表・蛯原英里氏、チームラボ代表取締役・猪子寿之氏、issue+design代表・筧裕介氏がセッション形式で話し合った。

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 度肝を抜かされたのが第3部だ。参加者が6~7人のグループに分かれ、マンション管理組合の理事に選出された設定のもとで、未来のマンションについて冒頭の「ワクワクするマンション」像を語り合うもので、おにぎりとお菓子などを食べながら侃々諤々、1時間近く話し合った。見ず知らずの人とどうしてそんなにフランクに話せるのかとあ然とした。

 その結論がまたすごい。「私たちのワクワクするマンション」とは、「井戸端会議の生まれる場所がある」「カベのないマンション」「顔と名前が一致するマンション」「子どもをダシにするマンション」「ゆるいコミュニティ」「自給自足型」「SHAREするのが楽しい」「自分たちだけで完結しないマンション」「地球と共生するマンション」などだ。

 みんなドキリとさせられるものだった。「井戸端会議のある場所」を提案したグループのひとり20歳代の女性は「私は谷中の一戸建てに住んでいます。おばあちゃんとも仲がいい」と話した。井戸など都会ではまず見られなくなっているし、井戸端会議がどのようなものか知らないはずの若い人がそれを望んでいることに衝撃すら覚えた。

 「カベ」とはもちろん戸境壁を取っ払えという提案ではないだろうが、家族、入居者、地域のそれぞれに重く垂れこめている「壁」を取っ払おうとする強い意欲の表れだしメッセージだ。「地球との共生」を堂々と打ちだしたグループには声を失った。

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登壇者のフォトセッション

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 このシンポの大きな特徴の一つは、従来の型、殻を打ち破ったことだ。参加者が主役、中心にいることだ。最初から最後まで3時間くらいあったが、途中で退席する人も私語を交わす人も居眠りをする人もほとんどいなかった。

 なぜかを考えた。シンポを仕掛けたのが三井不動産レジデンシャル市場開発商品企画グループであることを知り、その謎が解けたような気がした。このグループは、女性が「住」について興味を持つ機会を提供する女性向けwebサイト「モチイエ女子web」を立ち上げた部署だ。このサイトは従来の男性中心の商品企画に対する反旗だと思う。今回のシンポも同様だ。既成の概念を打破しない限り新しいものは生まれない。いつの時代でも世の中を変えるのは若者だ。若者に依拠しようというこの商品企画グループに拍手喝采だ。参加者から寄せられた多くの声は宝の山だろう。藤林社長も「今後の商品企画に生かしたい」と語った。

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参加者がそれぞれの思いを書き込むカード

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カードを基に行われたミーティング

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 会場で面白いプロジェクトが紹介されていた。「Neighbors Next Project」だ。26歳以下のメンバーが理想のマンションを実現するため調査、研究、体験を通じて2020年までにマンションを建設しようというものだ。

 現在、会員は15名だそうで、三井レジが2011年に有識者などとともに立ち上げた、今回のシンポの主催者でもあるサステナブル・コミュニティ研究会が活動に協力している。

 これもいいプロジェクトだ。詳細はウェブhttp://u26.jpへ。

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「ミライ・マンション・ミーティング」後に各グループがコンセプトを発表しあった

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左から「Neighbors Next Project」の代表・江副生氏(24)、山本遼氏(24)。江副氏は「2016年には着工したい」と語った。来春、ある独立行政法人に入社が決まっている。山本氏は不動産会社勤務。「シェアハウスに興味がある」とのことだった。

将来展望に明かり灯る 「マンション管理業の実態調査」報告 マンション管理協(2014/11/27) 

「エコボイド」「ソラテラス」が圧巻 「パークタワー東雲」完成(2014/3/10)

三井不動産レジデンシャル サステナブル・コミュニティ研究会発足(2012/3/29)

 

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