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2014/11/27(木) 00:00

将来展望に明かり灯る 「マンション管理業の実態調査」報告 マンション管理協 

投稿者:  牧田司

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「マンション管理業の実態調査調査結果」報告会(霞が関ビル)

 マンション管理業協会(管理協)は11月26日、有識者への研究委託を進めている「マンション管理業の将来展望に関する研究」(代表研究者 大橋弘東京大学大学院経済学研究科教授)のうち、平成25年度に実施した「マンション管理業の実態調査 結果報告書№2」(A4判、94ページ)が刊行したのに伴い、その調査結果報告会を行った。会員会社から約100人が参加した。

 今回の報告書は、24年度に実施した「マンション管理業の実態調査」の結果を踏まえて、マンション居住者のマンション管理に対するニーズや満足度の現状を定性的・定量的に明らかにした。調査はアンケートを中心に行われ、会員の回答数はフロント業務担当者を含め2,463人、マンション居住者は3,670人。 

 調査結果について報告した大橋氏は、マンション管理の知識を豊富に持ち、管理に対して高い関心を持つ居住者ほど設備の保守点検、清掃業務、緊急時の対応のほか、「理事会・総会の運営支援」「組合資産の運用方法の提案」「コミュニティ形成支援」などの充実を望む傾向があることを指摘した。

 また、マンション管理業は労働集約的な業態であり、人的資本の塊であるフロント業務担当者の役割が重要とし、モチベーションをいかに高め、維持していくのか、居住者のサービスへの満足度の向上、中長期的な生産性の向上につながるような教育訓練が必要と述べた。

 報告を受けた後に行われたパネルディスカッションでは、コメンテーターを務めた明海大学不動産学部教授・齋藤広子氏は、「フロント業務担当者のモチベーションが高いほど居住者の満足度が上がる結果が出たのが一番うれしい。管理業務に詳しい入居者ほど多様なニーズがあることも分かった。勇気と感動をもらった」と話した。

 パネリストとしても参加した大橋氏は、「居住者のニーズは複雑。これがファイナルバージョンとは思えない。謎を残したままだ」「業の定義が難しい。パッケージがない。認証制度のようなものをつかってポジティブに見ればやりがいはもっと拡大する」「(管理とは何かの)見方を変えるいいチャンス。ハードのみならず、居住者との接点にもビジネスチャンスがある。従来の延長線ではできない。錘の置き方に期待したい」と語った。

 同じ調査研究者でパネリストの摂南大学経済学部講師・西川浩平氏は、「多様な企業が参入しているが、商品の質の違いが見えない。質の見える化を図らないと、価格競争から逃れられない」と話した。

 フロント業務担当者としてパネリストになった日本ハウズイング・若林達矩氏は「居住者のコミュニティ形成のきっかけを作るフロントの役割は重要」と話し、ダイワサービス・勝又由起子氏は「コミュニティが充実していると入居者トラブルも少ない」などと語った。

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大橋氏

◇       ◆     ◇

 腑に落ちるとはこのことを言うのだろう。報告とパネルディスカッションを聴いて、わだかまりが消えすとんと胃に収まったような満足感を覚えた。マンション管理業とマンション居住者の目指すべき方向性がはっきりわかった。

 大橋氏は、標準委託契約業務以外の緊急時対応、資産向上、コミュニティ形成などに居住者ニーズが高いことを定量的に明らかにした。齊藤氏が「ワクワクした」というのもこのことではないか。記者もこれに目を覚まされた。

 つまり、管理会社が行う日常業務は無難にこなして当たり前。居住者はもっと高次のサービスを期待していることが明らかになったということだ。ところが、委託契約業務以外だから当然そこにはフィーは存在しない。フロントがいかにサービスを提供しようが、顧客満足度を高めようが〝ただ働き〟の評価しか受けない。だから、組合の要求は「過剰要求」になり「業務の負担増」につながっていく。

 このギャップを埋めるのが業界の最大のテーマであるし、だからこそこの難問に解を見出せば、管理業は新たなステップに進める。大橋氏が「外から形を作っていくしかない」と言ったように、これまでの延長線上にはその解はない。高いサービスを提供してそれがきちんとフィーとして評価される仕組みをどこがつくるか楽しみだ。

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齊藤氏

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左から大橋氏、西川氏、若杉氏、勝又氏

主役は参加者 マンションコミュニティを考える 三井レジのシンポに340名(2014/11/27)

 

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