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2015/02/02(月) 00:00

公園に保育所、マンション 岩盤規制を打ち破れるか 国交省 公園のあり方検討会

投稿者:  牧田司

 国土交通省は1月30日、これからのまちづくりに対応した都市公園のあり方などを検討する「第3回新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」を開催。福岡県北九州市の取り組みが紹介された後、都市公園の統廃合、機能のあり方などについて話し合った。各委員の声を紹介する。(順不同)

 ゲストスピーカー千々和秀二氏(北九州市建設局公園緑地部長) 人口減少、高齢化などで利用されない公園が増加している。維持管理も負担になっており、3割が補助金に頼っているのが現状。統廃合には住民同意を得るようにしているが、都市公園法第16号(廃止公園と同等の面積を確保しないと統合できない)、国庫補助事業によって整備した公園を配し出来るか、計画から整備まで2~3年のずれが生じるなど課題は少なくない

 池邊このみ委員(千葉大大学院園芸学研究科教授) 公園の統廃合は危険性をはらむ。文言を注意しないと、様々な要望が出てくる可能性がある

 石田尚昭委員(岡山市都市整備局審議監) 公園の維持管理が厳しくなってきている。一方で、防災時の空間も求められる。公園機能を論議する場が欲しい。廃止を持ち出せば利用されていなくてもすぐ反対される。代替え案を練らないといけない

 菊池正芳委員(東京都都市整備局都市づくり政策部緑地景観課課長) 都は緑地が確保できないという事情もあるが、都市公園の廃止は考えられない。管理をどうするかという問題はあるが、ネーミングライツもある

 女性委員 〝遊ぶな〟という公園がいっぱいあるのが現状。ニーズの変化に対応できていないのが問題

 涌井史郎委員(東京都市大学環境学部教授) 都市公園法の様々な悩ましい問題を念頭に置きつつ、2030年問題に対応するためダイナミック、大胆に変革する必要がある。その際重要なのは哲学だ。防災、利用の効用、地域交流などの評価も必要。もう一つはマネジメント。環境不動産の価値を整理してきちんと資産として評価する必要がある

 松本守委員(日本公園緑地協会副会長) 人口が減ったから廃止するというような単純な発想は納得できない。緑を拠点にした再編が重要

 坂井文(北海道大大学院工学研究院准教授) 人が真ん中になるような公園整備が必要

 舟引敏明委員(国交省大臣官房審議官) 存在価値や利用価値は都市と地方、市街地と郊外部では位置づけが異なってくる。もっと細かな視点でデザインすることが必要。プロ集団としてステップアップした会合にしたい

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 会合では、国家戦略特区特別諮問会議でも論議された都市公園内での保育所設置の是非についても論議された。進士五十八座長(東京農大名誉教授・元学長)は、「入れりゃいい問題ではない。条件づけ(理念)が必要。もともと公園事業の中には児童を指導することも含まれていた。幼保分離でなくしてしまったのが問題。児童公園・児童遊園を統合しないといけない」などと話した。

 他の委員もおおむね総論には賛意を示した。

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 記者は初めて傍聴したが、なかなか面白い会合だった。進士座長が話した幼保分離によって公園が児童公園と児童遊園に分離されたことも初めて知った。児童公園は都市公園法に規定され、児童遊園は厚労省の管轄のようだ。

 〝遊べない公園〟については同感。公園内で「ゴミを捨てるな」は分かるが、多くの公園は喫煙、キャッチボール、サッカー、ゲートボールなどの遊戯、物販販売、ペットの放し飼い、大声(歌の練習か)、果実の収集を禁止している。

 記者は喫煙のために公園を利用しようと思うがなかなかできない。そればかりか、公園に入ることは「危険」というメッセージも少なくない。ハチ、マムシ、痴漢、ひったくりなどだ。これでは怖くて公園を利用できない。都市公園法の足かせもたくさんあることが分かった。

 都市公園に保育所を設置するのは記者も賛成。というより、都の民設公園制度を活用した第一号マンション「Brillia L-Sio 萩山」が2009年に完成しており、第2弾、3弾を期待しているのだが、その後全然供給されていない。都の都市づくり政策部緑地景観課は「話はあるが、既存の公園内でマンション建設はまずあり得ない。保育園建設についてはうちの課の担当でない」と、様々な規制があることを臭わせている。アベノミクスは岩盤規制を打ち破ることができるのか。法の壁が立ちはだかる。

 国土交通省公園緑地・景観課課長の梛野良明氏も「都市公園内に保育所の話は法律の問題を検討しなければならない」と話した。

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 これほど面白い会合であるにも関わらず、テーブル付きの記者席が10席も用意されていたにも関わらず傍聴した記者はわたし一人だった。記者クラブに何社加盟しているかしらないが、そんなに忙しいのか記者の数が足りないのか(記者もそんなに暇ではない)。「ここは専門家の集団。気兼ねなく話してほしい」と進士座長が話した。現場の声を聞かずしていい記事が書けるはずがない。

都の民設公園第1号「萩山四季の森公園」開園祭り(2009/10/5)

公園を所有するマンション 東建・西武「Brillia L-Sio 萩山」(2008/5/26)

 

 

 

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