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2015/02/05(木) 00:00

人・街・未来を語り合う 多摩市 第2回「多摩NT再生シンポジウム」

投稿者:  牧田司

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第2回「多摩ニュータウン再生プロジェクトシンポジウム」(多摩市・パルテノン多摩で)

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阿部市長

 多摩市が主催する第2回「多摩ニュータウン再生プロジェクトシンポジウム」が2月4日行われ、会場の定員250名がほぼ満席となった。市外からの参加者も4割くらいに達するなど関心の高さをうかがわせた。昨年の第1回は多摩ニュータウンの夢がテーマだったが、今年はさらに一歩進め、中長期のロードマップの作成から、再生の主体者となる市民や街、未来について報告やトークセッションが行われた。

 冒頭、挨拶に立った阿部裕行・多摩市長は「昨年は諏訪団地の建て替えに続いて、舛添知事が視察に来られ、多摩ニュータウンの再生に力を入れると断言された。今年は都営住宅の建て替え、尾根幹線の整備など新たな一歩を踏み出す年にしたい」などと語った。

 シンポジウムは3部構成で、第1部はNHKの番組「ブラタモリ」「スタジオパークからこんにちは」などの番組を手がけたNHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサー尾関憲一氏が「身近にある〝街の魅力〟を発見し直そう!」をテーマに基調講演を行った。

 第2部は、まず多摩ニュータウン再生検討会議委員・西浦定継氏(明星大教授)が検討会議の現状を報告。西浦氏は再生方針の骨子を示し、永山駅を中心とする多様な拠点がネットワークしたコンパクトな都市構造を目指す、主要なリーディング・プロジェクトについては、都営住宅の建て替え、尾根幹線の整備と沿道プロジェクトの進め方などロードマップの作成を 進めていることなどを話した。

 続いて、多摩市民でもある浜田健史氏が、双子が誕生したことがきっかけで地域資源を活用する「たまらば」を設立し、「はたらく」「住む」「育つ」をキーワードに活動していることを報告した。

 もう一人の報告者、NPO法人福祉亭理事長・寺田美恵子氏は、これまでの10数年間の活動を振り返りながら、コミュニティの希薄化、運営継続の難しさ、セーフネット構築の難しさなど課題についても語った。

 第3部は、多摩ニュータウン再生検討会議委員長・上野淳氏(首都大学東京理事、4月に学長に就任予定)がコーディネーターとなり、1、2部の登壇者のほかに東京都都市整備局多摩ニュータウン事業担当部長・太田誠一氏、阿部市長も加わり「人・街・未来」をテーマにトークセッションを行った。

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西浦氏

◇       ◆     ◇

 シンポジウムは3時間を超えた。各氏の報告やトークセッションの内容を一つひとつ紹介するのは難しい。再生に参考になりそうなことを以下に紹介する。

 尾関氏は「ブラタモリ」では、タモリ氏に台本を一切渡さないで、アドリブで撮影し、同行する女性アナウンサーにも「普通の女性として演じよ」と裏話を明かし、専門家-タモリ氏-普通の女性の組み合わせの妙と、街の人との関わり、プロセスを紹介したのが反響を呼んだと語った。

 多摩ニュータウンの印象については、「高度成長とともに歩んだ意識の高い方が多く住む特殊な街。公園も緑もきれいだが、人工的な整備された印象も受ける。これまで使ったことがない、例えば〝おもしろい〟をキーワードにすれば新しい発見も生まれる」などと話した。

 (これに対して、上野氏は「『ブラタモリ』に多摩ニュータウンを取り上げていただけないか。『鶴瓶の家族に乾杯』でもいい」と尾関氏におねだり。尾関氏は苦笑しながら「可能かもしれない」と答えた。実現したら、「ブラタモリ」初回に登場した涌井史郎先生には失礼だが、面白さでは上野氏とタモリ氏の組み合わせに軍配が上がるはず)

 浜田氏は、「市民参加という単語がしっくりこない。私はカフェに足湯やっているし、七輪も出す。みんな面白がってくれる。いろいろな角度、切り口などちょっとしたことで動き出すのではないか。公園などで何かイベントをやろうとするとなかなか許可が下りない。楽しいことをやろうとすると時間がかかる」などと行政の対応に注文もつけた。

 (同感。先に国交省の「都市公園のあり方検討会」の記事も書いたが、都市公園法は規制だらけ。市民の利用を阻む一面もある。この点に絡めて阿部市長は「『パルテノン大通り』は舗道ではなく道路。道路の真ん中にイルミネーションを置くのは道交法の許可を得るため職員は大変な努力をしている」と話した)

 寺田氏は、「パブコメは何とかならないか。市民が行政の文章を読み込んで何か提案する作業は大変。もっと自由におしゃべりする場を設けて、結論がでなくてもいいから話せるような機会を設けるべき。語り合う力がアイデアを生む。多摩ニュータウンにはたくさん語り部がいる」と語った。

 (これに素早く反応したのが上野氏。トークセッションの冒頭、「私は口出ししない」と語ったが、「これは極めて重要。市民の発言の機会が少ない。本日のシンポでもフロアから声を募る機会が設けられていないが、来年は受ける機会を設けてほしい。…副市長さんが頷いていらっしゃるから来年はそうなる」と、市側の了解を取り付けた)

 西浦氏は市民力と学生のエネルギーを引き出すことを強調した。「結局、人なんですよ。多摩ニュータウンにはポテンシャルの高い人がいっぱい埋まっている。周りの市も同じ、相模原、八王子、立川、青梅など。これらと連携すれば大きなアドバンテージがある。それと学生。学生をうまく取り込むというのは語弊があるかもしれないが、学生はみんな多摩に就職したいと考えている」と語り「多摩ニュータウンをネガティブにとらえる声を一つつぶしていきたい」とも話した。

 (同感だ。記者はネガティブな記事など書いたことがないが、残念ながらマンション市場は正当に評価していない。分譲坪単価にはっきり表れている。駅前一等地のマンション単価は、多摩センターが200万円強であるのに対し、「立川」は342万円もし、「町田」「八王子」「相模大野」も多摩センターよりはるかに高い。リニアの駅ができる「橋本」にも追い抜かれるのは必至。「若葉台」にも負けるのではないか。ポテンシャルを引き上げる情報発信力に多摩市は欠けている)

 東京都とのパイプも強力だ。太田氏は「多摩ニュータウンは夢と魅力にあふれている。だれもが格の違いを認めるはずだ。地域活動も熱心。限りないポテンシャルを持っている。いまは都市間競争の時代。これからは業務・商業機能を充実させて、ほかからうらやましがられるニュータウンにしたい」などと、全面的に多摩ニュータウン再生を支援していくことを表明した。

 (シンポジウムの進行役を務めた鴇田正明・多摩市都市整備部長は都からの出向。少なくとも2020年までは太田-鴇田ラインを継続してほしい)

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上野氏

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トークセッション(左から上野、西浦、太田、尾関、浜田、寺田、阿部の各氏)

多摩ニュータウンの課題を解決し、魅力をどう発信するか(2014/2/13)

 

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