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2015/03/20(金) 00:00

異形のスカイツリーに怒れるスズカケ 押上の街路樹 続々「街路樹が泣いている」

投稿者:  牧田司

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墨田区向島のスズカケの街路樹

 「東京スカイツリー」をけなすつもりも墨田区を批判する気持ちも毛頭ないが、やはり言わざるを得ない。書かざるを得ない。

 「スカイツリー」がたくさんのお客さんを呼ぶのは結構なことだ。しかし、あれは「故郷」と同じだ。遠くから眺めると確かに美しく見えるかもしれないが、近くから仰ぎ見ると異形の形がぐっと迫ってくるようで心臓に悪い。地元の人はどのような評価をしているのだろう。

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押上駅前からのスカイツリー

 コスモスイニシアの賃貸マンションの取材を兼ねて、スカイツリーのある押上から向島3丁目、4丁目、5丁目を歩いた。

 「向島」は永井荷風などの小説の舞台になっており、昔からいいイメージを持っているのだが、街を歩いてあまりにも街路樹が貧しいのに悲しくなった。写真を見ていただきたい。緑がないところを選んで撮ったのではない。どこを歩いても四方八方を眺めても強剪定されたスズカケしかないのだ。あの枝を見ると記者は木が発狂しているようで恐怖を感じる。

 唯一と言っていいくらいの墨田区らしい街路樹は、森鴎外の居宅跡がある桜橋通りに植えられたハナモモだった。これは最近整備されたようで、高さは3mもなかった。

 社に戻り、ネットで調べて愕然とした。墨田区内には23年度現在、街路樹は7,452本ある。多いか少ないかはさておくが、このうちスズカケが約42%の3,123本だ、次に多いのがトウカエデの1,221本、それにアオギリ278本、イチョウ267本、マテバシイ188本、アメリカフウ154本、ハナミズキの142本と続き、その他が1,746本だ。

 読者のみなさんはここで気が付いただろうか。なんと常緑樹はマテバシイだけで、他は全て落葉樹。街が寒々と感じるのは記者だけでないはずだ。さらにいえば、その他1,746本の樹木はひとくくりにされていることだ。その木は何の木だ。気になるどころの話ではない。街路樹にそんなにたくさんの樹種があるはずがない。

 わが街多摩市はどうか。街路樹は約1万本ある。このうち常緑樹はクスなど約2割ある。各敷地内にも常緑樹はたくさん植わっているので、真冬でも緑は豊かだ。スズカケ(プラタナス)は284本しかない。そしてなによりこれが大事なのだが、50種ある樹木の中で「その他」はわずか2本のみだ。1本1本をきちんと管理している証左ではないか。

 墨田区は、緑化にも力を入れているようで、沿道緑化や壁面・屋上緑化にも補助金を出している。しかし、この街路樹はあまりではないか。隗より始めよといいたい。

 記者は街のポテンシャルを測るモノサシとして①ホテルの有無②デパートの有無③職を中心とする文化-この3つを掲げているが、これでは不十分。4つ目としてこれから「緑」を追加する。スカイツリーで押上の人気は高まっているのだろうが、記者のマンション坪単価相場としてはせいぜい200万円だ。23区内では最低クラスだ。

 区の担当者に「なぜ落葉樹ばかりなのか」聞いたら、「人それぞれ。紅葉がきれいという人もいる」-木を鼻でくくるような答えが返ってきた。思想・哲学などまったくない。進士・東京農大名誉教授が言った通りだ。「自治体に公園緑地のプロはいない」と。

 先のハナモモはどうして植えたかだが、森鴎外が住んでいたところは「向島小梅町」と呼ばれていたそうだ。「小梅町」にちなんで、ウメは街路樹にふさわしくないと考え「ハナモモ」にしたのだう。これは正解か。

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向島の街路樹

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森鴎外居宅跡地付近(街路樹はハナモモ)

続「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」流山と越谷、三郷の差(2014/10/17)

 

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