国土交通省は8月24日、「第7回 新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」を開き、人口減少・少子高齢化社会におけるオープンスペースの再編と利活用のあり方、まちの活力と個性を支える多様な都市公園の運営あり方などについて検討してきたこれまでの内容をもとに、新たな時代の都市をつくる緑とオープンスペースの基本的考え方を中間とりまとめとして整理・公表した。
中間とりまとめでは、少子高齢化と人口減少、環境問題、都市基盤ストックの形成、財政制約の深刻化、市民意識の変化・企業の社会貢献など都市を取り巻く社会状況を踏まえ、新たな時代の都市を支える緑とオープンスペースのポテンシャルを最大限に発揮することが重要とし、①ストックの効果をより高める②民間との連携を加速させる③都市公園を一層柔軟に使いこなす観点が必要としている。
これらの観点から、新たな時代の都市づくりにグリーンインフラとして緑とオープンスペースが寄与していくためには①新たな時代の都市を支える緑とオープンスペースの戦略的な確保・活用②まちの活力と個性を支える多様な都市公園の弾力的な運営③幅広い主体と協働により質を向上させていく仕組みの構築などの具体的な施策を推進することが必要としている。
今後、広場空間の実態調査、実例と分析と課題抽出、多様な都市公園の運営のあり方の整理などを行い、来年1月ころに最終とりまとめを検討することになっている。
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何度かこの「検討会」を傍聴した。進士五十八座長(東京農大名誉教授・元学長)を筆頭に各委員が遠慮せず自由に発言していたので、ものすごく面白かった。
もっとも注目したのは、「都市公園」のあり方だけでなく、「オープンスペース」「緑」「都市空間」などを含めた都市全体のあり方に各委員が言及し、都市公園法などを硬直的に解釈・管理するのではなく、柔軟な運用・運営によって多様な対応が可能だと各委員が指摘したことだ。
いま、都市公園の中に保育所などの子育て支援施設、老人デイサービスなどの高齢者福祉施設、観光関連施設、にぎわい・地域活性化施設の設置の是非が論議されているが、検討会はどのような方向性を打ち出すか。都市公園はもともとそのような機能を備えており、弾力的な公園運営を進めるべきとしている。
都市公園内の施設建設につい関連することだが、今から6年前、東京都の民設公園制度を活用して東京建物・西武鉄道のマンション「Brillia L-Sio 萩山」(全184戸)が建設された。
この制度によって、敷地の底地権はマンションの管理組合が所有し、マンションの維持管理費とは別に月額25万円(1戸当たり平均約1400円)を公園の維持管理費用に当てる。公園を一般に公開することを条件に、公園にかかる固定資産税、都市計画税は減免され、実質的に無料となる。
東京建物と西武鉄道は公園部分に地上権を設定。管理組合の委託を受けて向こう35年間、公園の維持管理を行う。長期の管理基金として1億500万円を拠出している。東大和市は、公園内に設置されたトイレのみを管理する。
マンション居住者は広い公園を所有し、維持管理にも貢献しているという満足感を味わえるし、行政は維持管理に関する費用負担を抑えられるという「Win Win」の関係が保たれていると思うのだが、その後、まったく供給されていない。なぜだろう。
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