総合地所が5月21日から販売開始する一戸建て「白岡ニュータウン リフレの杜“コミュニティガーデン街区”」のモデルハウスを見学した。同社が約30年間にわたって開発・分譲してきた全1,261区画の大規模戸建て住宅街の〝残地〟ではあるが、建築家・藤村龍至氏とコラボし、デザインにこだわり、居住者間の緩やかなつながりを醸成する庭の提案を行い、「SE構法」を採用することで1階の天井高約2.9mを実現するなど大胆な提案を行っている。
物件は、JR宇都宮線新白岡駅から徒歩5分、埼玉県白岡市新白岡1丁目に位置する全5戸。敷地面積は170.57~246.79㎡、建物面積96.16~131.77㎡、販売予定価格は4,800万円台~5,400万円台(中心価格帯5,200万円台)。構造は木造2階建(SE構法)。施工はイトーピアホーム。建物は完成済み。
現地は、2000年以降に分譲された新しい街区「リフレの杜」(240戸)に隣接。不整形な敷地を逆手にとり、建物の配置に工夫を凝らすことでコモンスペースのような空間を実現、表と裏の庭を設置するなどの工夫も行っており、これまでにない発想のランドスケープデザインになっているのが特徴。
建物のプランもかなりデザインにこだわっているのが特徴。「SE構法」を採用することで大空間を実現。1階の天井高を約2.9m確保したほか、階段の蹴上を低くすることでステップを18段にし、ドアはほとんどを引き戸にし、サッシ窓は絵画の額縁のようにし、リビング天井はヒノキの現し仕上げとし、風と光を取り込む小窓を設け、雨どいは目立たないようにするなど、細部にわたって工夫が施されている。
庭(ウッドデッキと菜園マスがある)
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床には塵一つなく、テーブルには必要なものしか置かず、窓の雨滴が気になり、本箱は大きさ順にきちんと揃え、額縁のゆがみや照明ペンダントの埃に我慢ができず、目に見えないようなアリの侵入にも気を配り、読み終わった新聞は耳を揃え1ページ目を表に4つ折りにしないと気が済まない、そんなきれい好きで几帳面な人が小躍りして喜びそうな住宅だ。
戸建てのモデルハウスはたくさん見てきたが、これほど隙のない住宅はほとんど見たことがない。一部の隙もない。
見たことがないものはほかにもある。前段でも書いたが、1階天井高が2.9m、2階は最大3m確保している分譲戸建てなどないはずだ。〝晴耕雨読〟がテーマにもなっており、位置・大きさが計算しつくされた窓から光と風を取り込み、ゆったりした気分で本が読めるような仕掛けもされている。建築家・藤村氏の企画意図がほとんどすべて盛り込まれているのではないか。
一つ理解できなかったのは、洗面は小さなボウルと鏡しかないことだ。デザイン的には美しいが、数え切れないほどありそうな女性の化粧品や歯ブラシ、ドライヤー、タオル、石鹸などはどこに置くのか。これは賛否両論、評価が分かれそうだ。
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ランドスケープデザインがまたいい。担当したのはランドスケープアーキテクトで慶大教授・石川初氏だが、シンボルツリーとして山桜を配し、四季折々の風景が楽しめる植栽計画になっている。建物はモノトーンのシンプルな外観であるので、樹木が成長したときどのような雰囲気を醸し出すか。
物件について説明してもらった同社執行役員 分譲第一事業部副事業部長・井上理晴氏によると、同社は船橋で34区画の戸建てを今夏にも供給するそうだ。これも楽しみだ。添付した街路樹の記事と合わせて読んでいただきたい。