デベロッパー・ハウスメーカーは別にして、これまでマンションや一戸建ての取材で首都圏の駅に降り立ったのは400をくだらないと思うが、ここ10年間でいえば、つくばエクスプレス柏の葉キャンパスは10回以上訪れており、もっとも多い駅の一つだ。
回数が多いだけでなく、わが街・多摩センターを除けばもっとも好きな駅圏の一つでもある。なぜそうなのか。第一は「若い」ということだ。
EXが開業して10年ちょっとだから当然といえば当然だが、どこからこんなに子どもが湧いてくるのだろうと不思議に思うくらい子どもが多い。かつて同じような経験を横浜市都筑区でもしたが、小さい子ども連れの若い女性を見ると、気持ちも湧きたつ。不思議と未来に希望が持てるようになる。最近は少し若返ってきたが、これは多摩センターがかなわないところだ。
もう一つ、「若い」のは街づくりの先進性だ。三井不動産を中心に柏市、東大・千葉大という公・民・学連携による先進のスマートタウンづくりが進められており、そのビジョンが素晴らしい。企業もそうだが、ビジョンが貧しければそれなりのものにしかならない。その意味で、添付した「「柏の葉」の「環境未来都市」 涙が出るほど嬉しい提案書(2012/2/13)」の記事と、その提案書をぜひ読んでいただきたい。感動するはずだ。
今回、改めて「柏の葉」を訪ねることにしたのは、先日取材したフージャースコーポレーションのシニア向けマンション「シニア向け「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」を取材したのがきっかけだった。
記事にもしたが、フージャースの物件の坪単価は230万円だった。いま三井不動産レジデンシャルが駅から徒歩3分の36階建て免震タワーマンション「パークシティ柏の葉キャンパス ザ・ゲートタワー」(349戸)は204万円だ。その差は30万円近くもある。。一般の分譲マンションとシニア向けはコンセプトが異なるので単純な比較はできないが、双方ともよく売れているのは「街」がユーザーに支持されているということは共通している。
「ゲートタワー」については詳細には触れないが、三井不動産レジデンシャルが分譲した平成20年竣工の「パークシティ柏の葉キャンパス一番街」(977戸)、平成23年竣工の「パークシティ柏の葉キャンパス 二番街」(880戸)に次ぐ第3弾だ。昨年夏から分譲が始まっており、これまで210戸が販売済みだ。
「一番街」も「二番街」も坪単価は165万円くらいだったから若干上昇しているが、まだまだ第一次取得層に手が届く範囲内だ。記者は郊外部のマンションだけは価格を上げてほしくないと思っているのだが、同社はその期待に応えてくれている。10年くらいの間に3物件トータルで2,206戸にもなる。熟成した街ならともかく、何もなかった場所で「街」をつくりこれほどの住宅を供給できる三井不動産グループの力を見せつけている。
三井不動産レジデンシャル千葉支店営業室主査・河崎竜也氏に話を聞いたのだが、「流山おおたかの森との競合はそれほどなく、それぞれの住み分けができているようだ。むしろ『柏の葉』の既分譲の中古や、当社の『武蔵小杉』『豊洲』『新川崎』、最近では『中央湊』だったり、『街』の比較で物件を検討されている方が目立つ」と語ったのが印象的だった。
都市間・エリア間競争が激化しているということだ。ここに「多摩ニュータウン」が割り込めないのが残念ではある。
◇ ◆ ◇
現地で小さな子どもを連れた「二番街」に住む女性(30)に〝なぜ柏の葉なのか〟を聞いた。「家族は上の子がいるので4人です。ここを選んだのは私の実家・流山に近かったことが第一ですが、おおたかの森より広かったのが決め手。96㎡です。駅の周辺に何でもそろっていて、緑が多いのも魅力です」と話した。
◇ ◆ ◇
一昨年オープンした「KOIL」のカフェレストラン「AGORA」で食事をした。店内で水耕栽培している「野菜を食べたい」と話したら野菜サラダにして出してくれた。スーパーの野菜との違いは判らなかったが、「きれいなものを食べた」という満足感はあった。
時間が空いたので、「KOILパーク」の「1 day ユース」プランを利用して約1時間本を読んだ。料金は400円(1日利用は1,500円)。喫茶代と思えば高くない。
水が飲め、インターネット(Wi-Fi)や電源の利用、コピー・出力・スキャンなども利用できる。「KOILパーク」に隣接したオープンスペースでは食事もでき、卓球を楽しんでいる人もいた。喫煙室もある。
「ららぽーと」に隣接 シニア向け「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」(2016/5/2)
三井不動産「柏の葉スマートシティ」 中核施設の「ゲートスクエア」8日オープン(2014/7/7)
「柏の葉」の「環境未来都市」 涙が出るほど嬉しい提案書(2012/2/13)