昨日(6月29日)行われた輸入住宅産業協会の総会後の懇親会で、国土交通省と経済産業省のそれぞれの来賓あいさつの中で「既存住宅」と「既築住宅」という文言が用いられた。いま「中古住宅」の呼称変更を求める声があり、国交省も「いい呼び名を考えて」と呼称変更に前向きなだけに、なかなか興味深い挨拶だった。
まず、「既存住宅」という表現をしたのは、国土交通省住宅局住宅生産課 木造住宅振興室長・澁谷浩一氏だった。
続いて登壇した経済産業省製造産業局住宅産業室課長補佐・志村典彦氏は「既築住宅」を用いた。
記者は普段から「既存住宅」という言葉には慣れているが、「既築」は「鬼畜米英」を連想させるので好きな言葉ではないので、早速、志村氏にどうしてそのような表現になったのか聞いた。
志村氏は「特別の意図があるわけではない。新築に対して既築と言ったまで」と話した。同省では少なくとも2008年から「既築」という文言を用いて様々な補助事業を行っている。
傍にいた澁谷氏にも同じ質問をしたら、澁谷氏は、「あまり文言にこだわらないほうがいい」と語った。
国土交通省では現在、「既存住宅」と「中古住宅」が混在して用いられている。民間の不動産流通経営協会(FRK)では、「中古住宅」は平成18年度から「既存住宅」に改められている。
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「中古住宅はイメージが悪い。なにかいい表現はないか」と、呼称変更の声を真っ先にあげたのは、積水ハウス会長兼CEOで住宅生産団体連合会(住団連)の和田勇会長だ。和田会長はさまざまな会合で呼称変更を呼び掛けている。
これは冗談だろうと記者は思っていたが、国交省住宅局長・由木文彦氏も乗り気のようで、「省内では27年度から中古住宅を既存住宅にするようにしたが、もっといいネーミングは民間で考えていただきたい」と発言している。
いったい「中古住宅」はどうなるのか。個人的な意見では、やはり「既築」はやめていただきたい。しかし「既存」だって「毀損(きそん)」といういやなイメージにつながる。「既存」とするならば「既存(きぞん)」と「そ」に濁点をつけていただきたい。