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2016/07/23(土) 00:00

週刊住宅「首都圏優秀マンション表彰」 応募が激減 評価方法にも一因

投稿者:  牧田司

 

 週刊住宅新聞社が2015年度「首都圏優秀マンション表彰」を発表した。最優秀賞に東京建物他「Brillia Towers目黒」が選ばれたほか、都心大規模、都心中規模、都心小規模、近郊・郊外大規模、近郊・郊外中規模、近郊・郊外小規模の6部門のそれぞれベスト3が発表された。

 三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」も「目黒」と同じ評価点82点だったが、「マーケットをけん引」したことが評価されて「目黒」が最優秀賞を獲得した。

 「目黒」が選ばれるのは予想されたことで、記者も異論はない。記者は「2015年ベスト3マンション」にこの2物件を選定している。(東建が2013年に分譲した「Brillia Tower池袋」がノミネートもされなかったのがいまだに不思議)

 それより気になったのは応募数の少なさだ。今回の応募数は12社34物件だという。都心大規模、都心中規模、都心小規模、近郊・郊外大規模、近郊・郊外中規模、近郊・郊外小規模の6部門でそれぞれベスト3が発表されたが、企業数はほとんど大手ばかりの7社(JVは幹事のみ)しかない。

 マンション市場が縮小する一方で、大手の寡占化が進行している結果ともいえるが、これはいかにも寂しい。2009年の第1回の応募数は92点だったので、ほぼ3分の1に減少した。

 どうして応募数が激減し、大手の物件ばかりが並ぶのか。これは以前にも指摘したことがあるが、はっきり言えば選定方法に問題がある。

 不動産の特性は代替えがないという唯一性にある。デベロッパーはその土地の価値をどう最大限に引き出すか、コンセプトを明確にし、ターゲットをどう絞り込むかどう需要を引き出すかが問われる。一言でいえば商品企画力だ。

 だから、都心大規模、都心中規模、都心小規模、近郊・郊外大規模、近郊・郊外中規模、近郊・郊外小規模といった部門に分けるのはあまり意味がない。

 部門分けもそうだし、基礎点の配分も問題がある。「立地」「構造」「共用部」「住環境」などが基本になっているが、これだと中小規模より大規模のほうが、駅から遠い物件より近い物件の評点が高くなる。偏差値教育と一緒だ。

 そうなると資金力がある大手物件が上位にランクされ、中小デベロッパーの物件がノミネートされなくなるのは当然だ。

 いかにこの評点主義に問題があるか。一例を挙げる。かつて、ヒューマンランドが東横線日吉で分譲した物件がある。バス便でしかも北傾斜。近接するマンションは竣工してから1年以上が経過しても売れなかったように〝必敗パターン〟のマンションだったが、ライトコートを多用することで居室に光と風を取り込む商品企画がヒットした。この物件を週刊住宅の評価方法で評価すれば、「立地」はゼロ点だろうが、事業性・商品企画は10点満点だ。それでも足して2で割れば総合点は5点にしかならない。

 せっかくの表彰制度なのだから、中小デベロッパーの優れた物件を顕彰する意味で、別の視点から評価する方法もあるのではないかと思う。

 今回でいえば、「週刊住宅新聞社賞」の総合地所「ルネ蘇我ディアパーク」なのかもしれないが、「蘇我」がどうして選ばれるのか理解できない。「蘇我」が劣っているという意味ではない。「蘇我」が選ばれるなら、同じように対象となる物件は少なくとも数十物件はある。

 「評価委員特別賞」の大和ハウス他「プレミスト高尾サクラシティ」もよくわからない。「近郊・郊外大規模」でベスト3に選ばれた三井不動産レジデンシャル他「パークシティ武蔵小杉ザ ガーテン タワーズイースト」、住友不動産「シティタワー国分寺ザ。ツイン」、三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス千歳烏山グローリオ」より評点が少なかったともとれる。コンセプト、ターゲットが異なる物件を同じ土俵の上で戦わせるからこのような結果になる。

 今回表彰された7社以外で意欲的な物件を供給している注目すべきデベロッパーを列挙すればコスモスイニシア、大成有楽不動産、モリモト、フージャースコーポレーション、伊藤忠都市開発、NTT都市開発、アパ(記者は「代官山」の取材を拒否されたが)などがあるし、最近では西鉄の「ブラントン日本橋小伝馬町」に驚愕した。

 評点評価を改めれば表彰制度も広く認知され、ノミネートされる物件も増えるはずだ。

記者が選んだ2015年「話題のマンション33物件」(2015/12/28)

 

 

 

 

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