マリモが10月から竣工販売を開始した「グラディスさいたま新都心」を見学した。JR埼京線北与野駅から徒歩3分、京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分の全36戸で、この半月で18戸を成約(申し込み含む)するなど好調なスタートを切った。
物件は、JR埼京線北与野駅から徒歩3分、JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分、さいたま市中央区上落合2丁目の第二種住居地域に位置する7階建て全36戸。専有面積は65.51~70.00㎡、現在分譲中の住戸(9戸)の価格は4,740万~5,420万円(最多価格帯4,700万円台)、坪単価は250万円。建物は平成28年6月完成済み。設計・監理はイクス・アーク都市設計。施工は飛島建設。販売代理はアートランド。
現地の用途地域は第二種住居地域だが、敷地南側は第一種低層住居専用地域で2~3階建ての戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角。住戸は全戸南向きでのファミリータイプ。
10月から販売を開始しており、低層階住戸や角住戸、高層階住戸中心に第1期18戸が完売・申し込み済み。販売担当者は「スタートとしては順調。立地・アクセスのよさが評価された」と話している。
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初めてマリモのマンション「ポレスター飯能」を見学してから9年。その後、リーマン・ショックの打撃を受けながら経営の立て直しを図り、ここ数年はマンションデベロッパーから総合デベロッパーへの転換を図っている。
市街地再開発事業、戸建事業、戸建賃貸事業、インバウンド、アウトバウンド事業、収益不動産事業(流動化事業)に参入、さらに中国、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど南アジアへも進出した。
新しい事業が開花するのはこれからだろうが、「利他と感謝の精神」を経営理念に掲げるこうした中堅デベロッパーを応援したい。
「グラディスさいたま新都心」は、やはり建築費高騰の影響を受けているのだろう。植栽など外構には力を入れているが、設備仕様は普通で、専有面積も圧縮気味だ。坪単価も安くはないが、浦和・大宮駅圏は坪300万円を突破してきている現状を考えれば妥当な値段か。
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見学する目的は他にもあった。「不動産ビッグデータでビジネス展開する」スタイルアクトが10月3日、「首都圏エリア別『沖式儲かる確率上位物件ランキング』2016年10月版」を発表したのだが、この「沖式儲かる確率上位物件」の首都圏エリア別トップマンションに埼玉県ではマリモのこの「新都心」が選ばれていたからだ。他のエリアは住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、新日鉄興和不動産など大手が並んでいる。
「沖式儲かる確率」とは、簡単に言えばマンション収益(家賃相当額+売却時損益)を新築時分譲価格で割って、「マンション利回り」を算出し、2%以上だと資産性が高く、1%台だと平均的、1%未満だと資産性が低いとするものだ。
投資用マンションならともかく、ファミリーマンションを収益面だけで「儲かる」「儲からない」などとする乱暴な手法にあ然とするほかないのだが、スタイルアクトが宅建業者であることには注目したい。同社もいわゆる「不動産テック」の部類に入るのだろうが、レインズのビッグデータは不動産業者のみが利用可能なもので、その優位性を武器に消費行動を左右させる情報を提供する商行為はいかがなものか。
「新都心」の販売担当者にこの件について聞いたが、「全然知らない。70㎡のモデルルームは家賃相当額18万円としているが、価格は5,300万円台。利回りは決して高くない」と戸惑っていた。他のデベロッパーも同じではないか。
マリモ「弊社の健全な経営状況について」公開(2008/11/30)