地権者の三井不動産レジデンシャルや川崎市などが出資している鹿島田駅西部地区再開発株式会社が11月27日、商・住一体開発の「鹿島田駅西部地区第一種市街地再開発事業」の事業全体の竣工を記念して「鹿島田駅西部地区まちびらきフェスタ」を開催した。三井不動産専務・北原義一氏、川崎市長・福田紀彦氏、三井不動産レジデンシャル社長・藤林清隆氏など関係者約110人が式典に参加、竣工を祝った。フェスタには約10,000人(主催者発表)が集まった。
冒頭挨拶した北原氏は、「駅と駅、人と人、街と街をつなぐコンセプトのもと、再開発計画段階を含めると四半世紀にもわたるプロジェクト。670戸のマンション『パークタワー新川崎』は施工段階で『手戻り』(作業工程の途中で大きな問題が発見され、前の段階に戻ってやり直すこと)があったため、竣工が約1年半延びたことを深くお詫びします。関係者のみなさんのご尽力に感謝いたします。設計監理の松田平田さん、施工の清水建設さんにも理解していただいたことを感謝いたします(この間、10人くらいの関係者の名を挙げ謝意を示した)。ハードは完成しました。最新鋭のスペックを備えています。これからソフトの部分、魂を入れるコンテンツの充実に総力を結集します」と述べた。
福田市長は、「(新川崎)駅と(鹿島田)駅がペデストリアンデッキでつながり、ワクワクする街が完成した。今後、平成30年には新たな交流施設も計画している。武蔵小杉同様、街に欠かせない施設が揃うことになる」と話した。
また、来賓としてあいさつした地元選出の田中和徳・衆議院議員は、「一時は大変な事態になりそうになったが、今日の竣工を迎えることができた。これからは南武線の踏切をなくし連続一体化を図るべく前進しよう」と語った。
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「パークタワー新川崎」については別掲の分譲開始時の2013年に書いた記事を参照していただきたい。北原氏が述べたように最先端の技術が採用されている。免震工法を採用し、マンション全住戸に蓄電池を搭載しHENS連携システムをわが国で初めて導入したほか、当時としては3例目の「CASBEE川崎」の最高ランク「S」を取得。再開発を株式会社方式で行うのも全国的に珍しいことから話題となった。
ところが、契約がかなり進んでいた2014年3月、施工中のコンクリートにひび割れや剥離が見つかり、工事をやり直すことになった。
当時、三菱地所レジデンスの「南青山」(施工は鹿島)や積水ハウスの「白金」(施工は清水)なども不具合が見つかり、「南青山」は建て替える事態に追い込まれた。
今回の「新川崎」では新た分譲することになったため工期が1年半も伸びたが、今年11月の竣工まで全て完売となっている。
関係者によると、「中古」段階では新築時の価格を上回る可能性が高いという。価格が当初分譲開始した2013年当時のままで据え置かれ、その後の建築費の高騰を織り込んでいないためのようだ。