京急電鉄などが3月下旬に分譲する「プライムパークス品川シーサイド」を見学した。駅からペディストリアンデッキで結ばれる徒歩3分の「ザ・タワー」(817戸)と、 駅から徒歩5分の「サ・レジデンス」(335戸)からなる全1,152戸の大規模マンション。来場者はすでに1,500組を超え、第1期分譲としては記録的な約400戸に上る予定だ。
「ザ・タワー」は、東京臨海高速鉄道りんかい線品川シーサイド駅から徒歩3分、品川区東品川4丁目に位置する29階建て全817戸(他にゲストルーム3室、コンビニ、保育施設などあり)。専有面積は53.38~111.18㎡、予定価格は3,900万円台~15,000万円台(予定最多価格帯6,300万円台)、坪単価310~320万円。竣工予定は2019年2月下旬。売主は同社(事業比率50%)のほか大和ハウス工業(同25%)、三菱地所レジデンス(10%)、総合地所(同10%)、京急不動産(同5%)。施工は長谷工コーポレーション。
物件は、品川シーサイド駅と建物をペディストリアンデッキで結び、敷地内に保育施設を設置し、また災害時には緊急避難場所として地域に開放するスペースを設けることで容積率の緩和(300%から590%)を受けている。建物は免震構造。
標準階の住戸は30戸、27・28階が26戸、29階が22戸。50㎡台が100戸強、60㎡台が約440戸、70㎡台が約80戸、80㎡台以上が約200戸。コンパクトタイプが多いのが特徴。リビング天井高は標準階が2550ミリ、27階以上が2650ミリ。
「ザ・レジデンス」は、東京臨海高速鉄道りんかい線品川シーサイド駅から徒歩5分、品川区東大井1丁目に位置する15階建て335戸(ほかにゲストルームなどあり)。専有面積は45.71~89.73㎡、予定価格は3,500万円台~8,800万円台(予定最多価格帯5,800万円台)、坪単価は285万円。売主は同社(事業比率55%)、三菱地所レジデンス(同35%)、大和ハウス工業(同10%)。施工は長谷工コーポレーション。
こちらも40㎡台を26戸、50㎡台を49戸設け、単身者・DINKS、投資需要を想定したプランを多く設けているのが特徴。
マンションギャラリーの京急不動産販売部・橋本昌彦氏は、「当社グループは品川駅での再開発計画もあり、沿線の開発強化を図る第一弾のマンション。来場者は1,500件超。最近は毎週50~100件。手ごたえ十分。第1期分譲は『タワー』が約300戸、『レジデンス』が約100戸。本音でいえば『タワー』だけで昨年の最多供給を記録した『東京王子』の320戸を超えたかった」と話している。
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最初に坪単価から。近隣の物件を参考に、坪300万円をはるかに突破するようだと苦戦は免れないと読んだ。
いくつかの壁が立ちはだかるからだ。その第一の壁は、先に竣工完売した三井不動産レジデンシャル「パークホームズ豊洲 ザ レジデンス」690戸の売れ行き。坪単価324万円で完売まで2年かかっている。坪300万円の壁は厚い。
そして、競合するかどうかはともかく、これから分譲される「晴海」の三井不動産レジデンシャル他「パークタワー晴海」(1,076戸)、「有明」の住友不動産「(仮称)東京ベイトリプルタワー」(1,539戸)の動向を考えた。「有明」は坪300万円をはるかに突破するはずで比較にはならないが、「晴海」は想像していたより安く坪単価は330万円くらいに収まる模様だ。これも壁になる。
街のポテンシャルはどうか。品川シーサイドは駅前にマンション2棟が建っているが、オフィスビルが林立し商業施設が乏しいのが難点だ。
それに戸数の壁も大きいと考えた。京急と積水で1,739戸もある。高値競争したら共倒れに終わると見た。
橋本氏から説明を受け単価設定に納得した。単価上昇には専有を圧縮してグロスを抑え、資産性をアピールして単身者・DINKS・投資用需要を取り込もうという狙いだ。これは吉にでると見た。
改めて書く積水ハウスの物件との住み分けもできている。双方が申し合わせたわけではないだろうが、積水の物件は60~70㎡台しかなく、面積的に競合するのは587戸のみで、半分以上は積水より狭いか広いかだ。施工はともに長谷工だが、商品企画はまるで異なる。
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販売事務所の設営とシアターなどもよくできている。ハウスエージェンシーの京急アドエンタープライズがコーディネートしたもので、堅いイメージの電鉄会社のマンションとはとても思えないおしゃれなものだ。
販売事務所のエントランスは長いトンネル仕立て。床は白のタイル、壁には淡いブルーのモザイクタイル。そこを潜り抜けるとやはり白が基調で、ソファーなどは淡いブルー。床のアッパーライトと天井のダウンライトに包まれた空間は浮遊感が漂い、異次元の世界に迷い込んだような感覚を覚え、場所を間違えたのではないかとさえ思った。
白のツーピース姿の女性3人が出迎えてくれた。黒のアクセントモールが美しい。襟元には鮮やかなブルーのコサージュ。全体の演出が「未来シップ」がコンセプトのようで、記者はまんまとその狙いにはまり込んだ。
シアターは品川の過去-現代-未来を船に乗って旅するドラマ仕立てになっている。リニア新幹線の始発駅となり、京急グループの西口開発も控える将来性を巧みに表現している。
住戸はインナーフレームのため柱・梁型が出ており、設備仕様はそれほど高くないが、その難点を吹き飛ばす可能性もあると見た。
京急電鉄他「品川シーサイド」 第1期は約400戸 昨年の「二俣川」「東京王子」上回る(2017/3/13)