「このほど」の記事が多すぎるとこのほど(5月3日)、当欄で書いたばかりだが、5月23日付「住宅新報」は「このほど」と日にちの記載がない記事が46本のうち24本もあった。
日にちが明記されなくても不都合が生じない記事はもちろんある。しかし、「三菱地所ホームは4月29日、神奈川県横浜市のみなとみらい地区に初のリフォームショールームをオープンした」と、3週間も前の出来事に日にちを入れる一方で、「NTT都市開発はこのほど、牧貞夫社長が取締役相談役に退き、中川裕副社長が社長に昇格する人事を発表した」と平気で書く。人事発令の日付は極めて重要だと記者は考えるし、大手上場会社の社長人事に〝このほど〟とは失礼極まりない。
さらにまた、「『中高齢者の農業参加と住まい』について研究する会がこのほど発足した」とあるが、これは会の名称が「中高齢者の農業参加と住まい」なのか、ほかに正式な名称があるのか全く不明。もちろん「このほど」もいつのことかさっぱりわからない。
不思議なのは、先週の5月12日、日本郵政が野村不動産ホールディングスの買収を検討する旨のビッグニュースが飛び込んできたのに、同紙はこれにまったく言及がないことだ。取材する時間はたっぷりあったはずだ。無視する出来事では絶対にないはずだ。
1面の企画記事は、デベロッパーなど34社の平成29年3月期決算と次期業績予想の数値が記載されているのだが、売上高、経常利益、純利益の数値と前期比の増減だけ。専門紙のやることか。いっそやるなら全ページを割き、他のデータも盛り込んでそのページだけ切り取ればいつでも読めるようにすべきだ。
是非はともかく、週刊新潮と週刊文春が取次店を巻き込んで〝スクープ〟〝特ダネ潰し〟合戦を展開しているというのに、わが業界紙はなんとのんびりしていることか。「住宅新報」1紙になったら少しは改まるかと思ったが絶望的になってきた。(記者は1年前、同紙に「このほど」はやめたほうがいいと伝えている)
慣用句か枕詞か なぜか頻繁に登場する「このほど」 不動産業界紙の記事(2017/5/3)