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2017/08/30(水) 13:27

新報と同じ土俵で戦うな 全てを疑ってかかれ 復刊「週刊住宅」の生き残る道

投稿者:  牧田司

 「週刊住宅」が復刊した。送られてきた8ページ建ての8月29日号に一通り目を通した。1面で不動産流通マーケット、最終面で民泊の記事が大きく扱わられ、週刊住宅の元編集長でハウジングライターの藤原利彦氏と住宅ジャーナリスト・櫻井幸彦氏のコラムが復活した。全体として記事内容は従来の同紙とそれほど変わらない印象を受けた。記事下広告は東急不動産、ポラス、積水ハウスの3社。

 業界紙のあり方については、東急不動産HD・金指潔会長の「このままでは生き残れない業界紙」の発言をきっかけに10回くらい書いてきたので省略するが、逆風荒波に抗して再出発した同紙にエールを送りたい。

 とはいえ、同紙が直面する課題について触れざるを得ない。

 今週の住宅新報は全14ページ。週刊住宅は8ページ。購読料はどうか。新報は年間換算で税込み16,458円、週刊住宅は19,980円。比較を容易にするたる1ページに換算すると新報は1,175円、週刊住宅は2,497円。さらに年間50回発行として1日1ページ当たり単価は新報が23.5円、週刊住宅が49.9円。

 双方ともあまりにも単価が安いのに驚く。広告収入が多ければいいのだが、双方ともいわゆる〝自社広告〟のほうが多い。金指氏が「生き残れない」と話したのもこの数字が裏付けている。野垂れ死にするのは必定だ。

 紙面の量・金額では倍以上の開きがある。週刊住宅は1ページ23.5円の新聞と同じものを作って生きていけるはずがない。新報に絶対に勝てないことがわかる。

◇      ◆     ◇

 どうすればいいか、そのヒントを8月29日付の住宅新報が示している。

 同紙元編集長・本多信博氏の署名記事「庶事万感」の中で、リノベーション住宅推進協議会の内山博文氏が「一つは業界の常識を疑うこと。業界の習慣に捉われると柔軟なコンサルができなくなる。もう一つは、未来に思いを馳せて、未来はこうあるべきだから、法律はこう変えていくべきではないかという〝逆算発想〟ができること。今はこういう規制があるから、このようにしかできませんということでは、世の中を変えていく力にはならない」と語っている。

 内山氏は、リノべるホームページでも次のように語っている。

 「今までの既成概念を一旦崩して考えることができるかどうか。自分の専門領域や価値観を崩せない人だとなかなか難しいかもしれませんが、いまの世の中と照らし合わせて自分がいま何をやるべきか、何ができるかを考えることのできる設計者・デザイナーなら、決して難しくないと思います」

◇      ◆     ◇

 〝常識を疑え〟-これはジャーナリズムの基本でもある。意図したものではないだろうが、今週号の新報も内山氏を介して週刊住宅にエールを送っている。新報と同じ土俵で戦わない-ここに生きる道があると見ている。

 小生からもヒントを一つ。記者は小さいころからあまのじゃくで、人が右を向けば左を向いていた。席は一番後ろに座り、先生の話より友だちの反応を観察するほうだった。いたずらばかりするので、廊下に立たされ、教壇の真ん前に座らされたこともあった。

 この性格はいまもあまり変わらない。他人が書いた恋文(プレスリリース)を引き写して恋人(読者)に渡すほうが誤報より罪が重い。〝記事はラブレター〟と、好きな人が読んでくれればいいという居直りともいえる心境に達するまで10年かかった。自分の物差しでしか人は物事を測れない。その見る目を養うのもまたものを見ること以外ない。

 頑張れ週刊住宅!新報と同じ土俵で戦うな!

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