RBA OFFICIAL
 
2017/10/29(日) 16:10

応募作2万点超 木住協 第20回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式

投稿者:  牧田司

IMG_4902.jpg
第20回「木の家・こんな家に住みたい!!」作文コンクール表彰式(すまい・るホールで)

 日本木造住宅産業協議会(木住協)は10月28日、小学生を対象にした第20回「木の家・こんな家に住みたい!!」作文コンクール表彰式を行った。各省大臣賞など18作品や木住協各ブロック賞の合計30作品が入賞。それぞれ賞状と副賞が手渡された。

 コンクールは、国土交通省・文部科学省・農林水産省・環境省・住宅金融支援機構・朝日小学生新聞社の後援を得て行われているもので、今回は過去最多となる海外6か国7校を含め国内外から1,733校の応募があり、応募総数も6年連続の2万点を超える22,778点に上った。

 冒頭にあいさつした木住協会長・市川晃氏(住友林業社長)は、「審査員の方々は素晴らしい作品ばかりで選ぶのが大変だったと仰った。私も読ませていただいたが、情景が目に浮かんだり、やさしい気持ちがよく表現されていたり、わくわくさせられたりして、とてもうれしい気持ちになりました。私たちは美しい自然や環境を未来に残す責任があります。来年のコンクールはもっと成長させる。楽しみにしてください」などと話した。

◇       ◆     ◇

 それにしても2万点超の数字がすごい。1点を400字原稿用紙2枚として4万枚超。小説に例えると、世界最長とされる900万文字のマルセル・プルースト「失われた時を求めて」、わが国最長の原稿用紙13,000枚の中里介山「大菩薩峠」をはるかに超える。積み上げると高さは2mくらいに達するはずだ。それを一つひとつ読まれた関係者には頭が下がるばかりだ。

 世の中にはこの木住協の応募数を超える作文コンクールがいくつもあるというから驚きだ。それなのにわが国のノーベル文学賞受賞者は川端康成と大江健三郎氏しかいない。ハルキストは歯ぎしりしているが、日本生まれのイギリス人、カズオ・イシグロ氏に先を越されてしまった。

 そこで木住協にお願いしたい。過去20年間を振り返って子どもの作文力は高まったのか退行したのか、木造住宅は進化したのか後退したのか、各分野の専門家を集めてぜひ検証していただきたい。

IMG_4889.jpg
市川氏

◇            ◆     ◇

 耳が遠くなったせいもあり、壇上で読まれた8人の子どもの入賞作文は聞き取れなかったものもあったが(以前はプロジェクターで紹介されたこともあった)、気が付いたことをいくつか。

 一つは、祖父母の木造住宅をテーマにしているものが多かったということだ。募集条件が「夏休み期間中の自由課題」なのでこれはこれで納得するのだが、逆に考えればいまの子どもたちが住む住宅は美しくないのか、木の香りがしないのか。木住協を含めたメーカー、工務店は考えないといけない。経済性優先のケミカル製品だらけの住宅を造っていないか。

 このことと関連するのだが、もう一つは、子どもたちが〝このように書けばほめられる、入賞できる〟と先生や主催者の意図を忖度してテクニックに走りすぎてはいないかということだ。朗読された作品は、会話文を巧みに挿入し、メタファー(暗喩)の技法をうまく取り入れているが、あまりにも美しすぎてその背後に〝大人の企み〟〝大人の匂い〟が見え隠れする。コンクールは美文・名文を顕彰する以外にも子どもの鋭い感受性、想像力を引き出すことにあるのではないか。

 記者は、小学1年生の圓山義久くんの「ぼくのつくる木のいえはかみ」がもっとも印象に残った。圓山くん、日本には本気で紙の家を普及させようとしている坂茂さんという建築家もいるよ。

 もう一つ。紹介された18作品のうち7作品が千葉県市川市の国府台女子学園の生徒さんだったことだ。先にも書いた〝大人の意図〟が感じられないでもないが、みんなしっかりした文章を書いていた。子どもの教育の基本は国語だ。この学校は国語教育に力を入れているのだろうと思った。受賞者の一人に尋ねたところ、書く機会は多いが、学校や親のからの特別の〝指導〟などはないそうだ。

木住協 第19回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクールに応募2万件超(2016/10/31)

 

 

 

 

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン