旭化成不動産レジデンス(事業比率75%)と首都圏不燃建築公社(同25%)のマンション「アトラス品川中延」を見学した。特定防災街区整備地区(中延二丁目旧同潤会地区)指定によって建築が進められているもので、既報のように第1期72戸の販売が完了するなど、好調な売れ行きを見せている。
物件は、東急池上線荏原中延駅から徒歩4分、品川区中延二丁目に位置する13階建て全195戸(非分譲住戸72戸含む)。専有面積は33.45~87.05㎡、坪単価は352万円。竣工予定は2019年2月下旬。設計・監理は日建ハウジングシステム。施工は長谷工コーポレーション。
モデルルームは72㎡の3LDK。二重床・二重天井、御影石のキッチン・洗面カウンタートップ、ペニンシュラキッチン、食洗機、物干しポール付きなどが特徴。
防災街区整備事業とは、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく事業で、木造家屋が密集し防災上の不安を抱えた地区を対象とし、密集市街地の防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図ることが目的で、東京都の防災街区整備方針によると、平成26年12月現在、都内82地区、5,135haが防災再開発促進地区に指定されている。
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防災再開発促進地区指定の威力を現地で確認することができた。
一つは事業スピードだ。平成22年の検討会発足から今年6月の着工までわずか7年しか経過していない。周辺の建物はほとんど2階建て、3階建てのビルや住宅ばかりで、道路幅も4mあればいいほうで、狭隘で2m幅もなさそうなところもあった。マンションが建つエリアは権利関係者が140名にも上っている。両者がコーディネーター・参加組合員としてよく権利調整を行ったということだろう。
もう一つは、容積率緩和だ。現地の用途地域は第1種住居で、建ぺい率50%、容積率200%だが、建基法52条第8項の規定により公開空地などを設けることで容積率は40%の緩和措置を受けている。もともとなかった敷地南側に新たに軒先空地(壁面後退6m)を設けるなどして建物周辺に約500㎡の空地を確保、敷地北側には提供公園・地域交流広場や防災備蓄倉庫を設置している。
坪単価はやや高いという印象も受けるが、周辺エリアの価格がどんどん上昇していることを考慮すれば相場並みか。第1期72戸の販売が完了したのには驚いたが…。
旭化成不動産レジ・不燃建築公社「アトラス品川中延」 第1期72戸の販売完了(2017/12/11)
旭化成不動産レジデンス 品川区中延で密集法に基づくマンション195戸建設へ(2016/12/13)